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<ミランの歴代レジェンドに聞く> 名門の凋落と金髪のジャポネーゼ
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byTomoki Momozono
posted2014/02/24 06:10
世界最強を誇ったクラブは近年、タイトルから見離され、苦しんでいる。
ミラノの街でかつての名手たちを訪ね、
再建への鍵と新たな「10番」へ求めるものを語ってもらった。
ミラノの街でかつての名手たちを訪ね、
再建への鍵と新たな「10番」へ求めるものを語ってもらった。
近代的なビルの開発が進むフィエラ地区に、ACミランの新しいオフィスはある。
ミラノ中心部にあった昔ながらの重厚なオフィスとはまるで違って、金融街にありそうなガラス張りの建築物だ。
“We are AC Milan”
ビルの入り口には、赤と黒の文字で大きくそう書かれてある。
「ようこそ、ミランの新しいホームへ」
受付に座るふたりの女性が、訓練された笑顔で迎えてくれた。クラブ上層部が変わり、生まれ変わろうとしているミランの姿は、こんなところにも見ることができる。
降りてきた関係者は、北イタリアの曇り空のようなどんよりとした顔をしていた。
「昨日はあんなことになってしまって……。もう、嘆いても仕方ないことだけれど」
1月下旬のコッパイタリア準々決勝で、ミランはウディネーゼに敗れ、敗退が決まった。結果だけでなくその内容も酷い代物で、怒りと諦めが交じった複雑な空気が、がらんとした真夜中のサンシーロを包んでいた。
赤と黒のチェアが並べられた応接室に、フランコ・バレージは約束の時間ぴったりにやってきた。刻まれた深い皺と柔らかなもの腰は、温厚な教師のような印象を与えてくれる。
バレージは現役生活を通してミランでプレーした。近代ミランの栄光のすべてを経験し、'97年に引退。現在、現場からは離れているが、ミランの試合は欠かさずに見ている。