セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ミランを救う終了間際の初アシスト。
本田圭佑は“あきらめない日本人”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/01/27 11:50
初のフル出場でチームを救う初アシストを見せた本田圭佑。ミランの命運は、本田率いる攻撃カルテットに託された。
新10番の初アシストが、ミランを救った。
1月26日、カリアリとのセリエA21節に先発出場したMF本田圭佑は、同点で迎えた試合終了間際、89分の右コーナーキックで、セリエA初アシストをマークした。
「日本人は絶対あきらめない」
自らの言葉を実証するように、本田の左足がミランに起死回生の勝ち点3を呼び込んだ。チームを再起させる、値千金のアシストだった。
4日前のコッパイタリア敗退は、決して少なくない動揺をチームに招いた。あのカカですら「来季欧州カップ戦に出られないかもしれない、という不安が大きくなった」と力なく語ったほどだ。
だが、指揮官セードルフは「チャンピオンズリーグに1年出られないことは恥ではない。美しいプレーなど今はいらないし、スタイルは後からついてくるものだ」と試合前日に言い切り、強風吹き荒れる離島サルデーニャのサンテリア・スタジアムに乗り込むと、1週間前のベローナ戦と同じ攻撃のカルテットを先発で送り出した。指揮官が執心する4-2-3-1のうち、本田は2列目右に入った。
カカがはたき、バロテッリが折り返し、本田が打つ。
追い風を受けた前半、左サイドにFWロビーニョとMFカカが拡がる一方、本田は右サイドバックのDFデシーリオと縦のコンビを模索した。
相手マーカーを押さえながら、背中越しにタッチライン沿いを疾駆するDFデシーリオへ通した10分のヒールパスは、ゴール前に走りこんでいたFWバロテッリ目がけたクロスの起点になった。
前半最大のチャンスが訪れたのは、18分だった。中盤のMFカカが、右に展開するFWバロテッリへパスを出すアクションを起こしたとほぼ同時に、本田はゴール前へ急加速。相手エリアに入るや、右斜め後方から来るバロテッリのパスに合わせた本田の右足のタイミングは完璧だった。セオリー通りに対角線上のゴール左隅を狙った。
シュートコースを巧く塞いだカリアリGKアブラモフに防がれはしたが、長短のダイレクトパスを繋いで迫ったプレーは、このカルテットの真骨頂だった。