欧州サムライ戦記BACK NUMBER
ついにイタリアへ旅立った本田圭佑。
実り多きCSKAでの4年間を振り返る。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byRussian Look/AFLO
posted2013/12/18 10:30
雪のちらつくモスクワに別れを告げ、念願の地イタリアへ。4年間のロシア生活は、本田が高く羽ばたく準備をするには十分な時間だったのだろう。
ロシアでの経験を糧にイタリアで飛躍を。
'13-'14シーズンのCSKAには、ポスト本田の候補としてステファン・ツバー、ゲオルギ・ミラノフ、ビチーニョらが加入している。スイス、ブルガリア、ブラジルの若手タレントだが、いずれも真価を発揮しきれていない。移籍1年目からチームの中心となった本田とは対照的だ。
CSKAでの結末は、少しばかり苦みを残すものとなった。12月6日のリーグ戦は前半途中で交代を命じられ──あまりに不可解だったが!──直後のチャンピオンズリーグは後半からの途中出場だった。
だからといって、CSKAに記した4年間が汚されることにはならない。クラブにタイトルをもたらした外国人選手として、イビチャ・オリッチ、クラシッチ、バグネル・ラブらと並ぶ功績を残したのは間違いない。
タイトル獲得を至上命題とする名門で過ごした4年間は、重圧と向き合う日々だったはずである。また、近年のロシアプレミアリーグはイタリアやスペインからも監督や選手を迎え入れ、リーグとしての競争力を高めている。そのなかで2位、3位、優勝というチームの成績に寄与したのは、これから始まるミランでのキャリアに生かされるだろう。
すでに1年以上前から、本田はイタリア語を学習していると聞く。キャンプという助走期間のない冬の移籍には難しさが付きまとうが、セリエAで戦う準備はできている。