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3年間でなぜ48位から世界4位に?
C組最大の難関、コロンビアの秘密。
text by
竹澤哲Satoshi Takezawa
photograph byAFLO
posted2013/12/13 16:30
ベルギーとの親善試合でもゴールを決めた絶対的エース、ファルカオ。今夏モナコに移籍した78億円の男が、日本の前に立ちはだかる。
強豪とも対等以上の戦いを見せ、南米予選2位。
コロンビア代表を魅力的で質の高い決定力のあるチームへ変えたペケルマンについて、バルデラマはこのように話している。
「ペケルマン監督はサッカーを熟知した人物だ。彼は長年忘れられていたコロンビアサッカーのアイデンティティを取り戻したのだ」
ペケルマンの下で生まれ変わったコロンビアは、南米予選を首位のアルゼンチンに勝ち点差2の2位で終えた。勝ち点30ポイントの内26ポイントはペケルマン就任後に得たものだ。この中にはウルグアイに4-0で勝利、アウェーでのアルゼンチン戦0-0という試合も含んでいる。また去年11月に行なわれたブラジルとの親善試合でも1-1で引き分けるなど、強豪国と対等に戦える力を示し、ランキング4位というのがけっして過剰な評価ではないことが分かる。
そして今年10月12日にホームで行なわれたチリとの試合において、一度は0-3とリードされながらもそこから勝負強さを見せて引き分け、実に16年ぶりの本大会出場を決めたのだ。
コロンビアに今も残る、'94年W杯の忌々しい記憶。
組み合わせが決まり、GL突破を確実視するメディアも多い一方で、楽天的になるのは危険だと指摘する記事も多く掲載された。20年前の忌々しい出来事を、コロンビアの人々はまだ忘れていないからだ。
それは'94年アメリカW杯の記憶である。'90年大会でベスト16の成績を残したコロンビア代表は、ファウスティーノ・アスプリージャ、バルデラマといった主力がさらに成熟し、しかも南米予選においてはアウェーでアルゼンチンを0-5で粉砕。ペレなどは優勝候補にコロンビアの名前を挙げていたため世界中がコロンビアに注目した。
しかし本大会が始まってみると、初戦でルーマニアに敗れ、さらに第2戦もホスト国アメリカにも黒星を喫しGL敗退。そして痛恨のオウンゴールをしてしまったキャプテンのアンドレス・エスコバルが、帰国後に暗殺されるという悲劇が起きた。
果たしてあの時とは今回は異なるのだろうか。'90年、'94年、'98年と3大会に出場したフレディ・リンコンは'94年当時のことを振り返り「僕らは過度に自信を持ち、戦う前から、すでに何かを成し遂げたという気持ちになっていた。それが失敗の原因だった」と気の緩みを理由に挙げた。
また南米予選において敵地アルゼンチンで2得点を決めたアスプリージャもあの時とは異なると話した。
「僕らの頃は、外国でプレーしていたのは少しだけで、選手のほとんどがコロンビアでプレーしていた。でも今は違う。ヨーロッパで揉まれてきた選手ばかりだ。それが大きな力となるはずだし、失敗はしないだろう」