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ライコネンの欠場理由はギャラ未払い!?
チームはドライバーへ敬意を示せ。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAP/AFLO
posted2013/11/17 08:01
残り2戦、ロータスのヘルメットをかぶるライコネンを見る機会は失われてしまった。
ロータス側のライコネンへのギャラ未払いが発覚。
問題はそれで収まらなかった。
翌アブダビGPで開く予定になっていたグランプリ直前の記者会見を、ライコネンが欠席したのである。ライコネンがアブダビの空港に到着したのは木曜日の夜10時すぎ。サーキットに現れたのは、金曜日のフリー走行開始2時間前のことだった。
さらにライコネンはフリー走行後の記者会見で、爆弾発言を行った。
「本当の問題はインドでの無線のやりとりではなく、チームから1ユーロもギャラをもらっていないこと。もしこの状態が続けば、残り2戦を欠場することもあり得る」
その後、チームはライコネン側を必死に説得して、事態は収まったかに見えた。しかし、その矢先の欠場発表だったから、「背中の治療のため」というチーム側が発表した理由に、首を傾げたくなるのも当然である。
ギャラを踏み倒されそうなドライバーは他にもいる。
その真意はともかくとして、今回の一連の騒動で感じることは、ロータスに限らず、最近のF1ドライバーへ対するチーム側の敬意の少なさである。なぜなら、契約どおりにきちんとギャラを受け取っていないドライバーはライコネン以外にも存在しているからだ。有名なところでは、今年ザウバーに移籍したニコ・ヒュルケンベルグがそうだし、それ以外にも名前は出せないが、「踏み倒された」または「踏み倒されそう」なドライバーを私は知っている。
確かに、世界経済が不安定な中でF1チームを運営することは、簡単なことではない。それはホンダやトヨタ、そしてBMWといった世界を代表する自動車メーカーですら、リーマンショック後に撤退を余儀なくされたことでもわかる。