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ライコネンの欠場理由はギャラ未払い!?
チームはドライバーへ敬意を示せ。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAP/AFLO
posted2013/11/17 08:01
残り2戦、ロータスのヘルメットをかぶるライコネンを見る機会は失われてしまった。
予想していた事態が起きた。11月10日に、キミ・ライコネンが残り2戦を欠場するとロータスが発表したのだ。それによれば、欠場の原因は古傷である背中の痛みを改善するために手術を行なうからだという。
ライコネンは今年のシンガポールGPでも、背中の痛みに悩まされ、注射を打ち、痛み止めを服用しながら、週末のレースを戦い抜いていた。しかし、そのときでさえライコネンは「シーズン終了後にきちんとした治療を受ける」と話していた。それがここに来て、突然2週間前倒しされた。
フィンランド紙の報道によれば、その理由を「回復までに4週間を要するため」と書いているが、果たしてそれが真意かは疑わしい。なぜなら、ライコネンとロータスとの関係は、直前のインド&アブダビGPでかなり冷えきっていたからである。
インドGPでチームから「どけよ!!」と言われたライコネン。
両者の間に起きたトラブルが表面化したのは、インドGPのレース終盤だった。タイヤに優しいことで評判のロータスは2人のドライバーに1ストップ作戦を与え、レース終盤に2台そろって表彰台争いを演じていた。ただし、スタートから7周後にタイヤを交換して、最後まで走り切ろうとしていたライコネンのタイヤは限界に達しており、ライコネンより6周後にタイヤ交換したグロージャンのほうがペースは圧倒的に速かった。抜きにかかろうとしたチームメートをブロックする元チャンピオン。両者は接触こそしなかったが、グロージャンがコース外へ回避していなければ危ない状況だった。
そのため、チームは慌てて無線をライコネンへ飛ばした。通常であれば、レースエンジニアのマーク・スレードが話しかけるところだが、緊急事態と判断したのか、2人のレースエンジニアを統括する立場となっているトラックサイド・オペレーション・ディレクターのアラン・パルメインがマイクのスイッチを入れた。
「Kimi, get out of the f×cking way!」
内容は「キミ、どけよ!!」ということなのだが、強調するために欧米では一般にタブーとされている4文字言葉を入れたために、それを聞いたライコネンも我慢ならずに「Don't f×cking shout in the radio!!」(無線でそんなに怒鳴るなよ!!)と、4文字言葉を入れて応戦した(※ ×は伏せ字)。