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<女子ゴルフ・クライマックス> 森田理香子 「賞金女王へ最後の試練」 

text by

月橋文美

月橋文美Ayami Tsukihashi

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photograph byToshiya Kondo

posted2013/11/14 06:01

<女子ゴルフ・クライマックス> 森田理香子 「賞金女王へ最後の試練」<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

「賞金女王もやらなきゃいけない」

 抜群の飛距離を武器に、プロ入り翌年の'09年秋からは岡本綾子に指導を受けて、3年計画でスウィング改造、肉体改造に取り組んできた。'10年10月の樋口久子IDC大塚家具レディスでツアー初優勝、昨年9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで2勝目を挙げ、賞金ランクでも前年の21位から7位へと急成長を見せて迎えたプロ6年目、2013年だった。

「今年期待されているのはわかってるし、今の自分はそれに応えられると思う。賞金女王もやるからにはやらなきゃいけないと思ってます。岡本さんからの課題をクリアしていけば夢じゃないと思うし。あと35試合、死にものぐるいでやっていきます」

 こう話したのは、開幕戦の優勝会見。その後、5月の中京テレビ・ブリヂストンレディス、6月のサントリーレディスオープンと、あっという間にシーズン3勝を達成した。

 だが、折り返しとなる7月にスランプが訪れる。6月末までの17試合で約8879万円の賞金を稼いでいたが、それが1億円の大台に乗ったのは10月の29試合目。マッスルバックのアイアンを試し、スウィングのリズムを崩してしまった時期もあった。海外遠征もはさみ、疲労の蓄積から体調を崩して、9月初めには1試合の欠場も余儀なくされた。それでも、もがきながら練習を続け、なんとか賞金を少しずつ積み重ねてきた。

重圧と戦う森田を支える師匠・岡本綾子の存在。

 開幕戦から第32戦終了時点まで、森田が賞金ランキング首位の座を譲ったのはわずか4週だけ。4月終わりから2週連続優勝の佐伯に、僅差で後れを取ったが、中京BSでの2勝目で奪い返し、その後は誰にも追いつかれることなく、ここまで来た。

 また、中盤戦で一気に3勝した吉田は、高額賞金の大会に縁がなく、獲得額は思ったより伸びなかった。イ・ボミと横峯が勝った優勝賞金2520万円の高額トーナメント、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯とマスターズGCレディースは、いずれも天候不良で短縮日程となり、加算賞金が75%に減額された。さらに今季最高のV賞金がかかった日本女子オープンでは、日本ツアーにメンバー登録していない宮里美香が優勝。そんな巡り合わせの数々も、森田の“女王への道”をアシストしている。

 過去、賞金女王レースを引っ張りながら終盤戦で散った選手が何人かいる。現状の森田を、それらの前例に重ね合わせる見解もある。だが、大きな違いが一つある。それは森田の師匠が岡本だということ。'81年に日本ツアー賞金女王に輝き、'87年に米ツアー賞金女王に、そして世界殿堂入りを果たした岡本綾子が、森田を支えているのだ。

【次ページ】 本来恥ずかしがり屋の森田の内面に起きた変化。

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