Jをめぐる冒険BACK NUMBER
ジュビロ降格の陰に3つの「不在」。
パートナー、リーダー、そして伝統。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2013/11/12 10:30
不振を極め、いまだ得点が1ケタにとどまるエース・前田遼一。獲得を目論む国内外のクラブも多いなか、今冬の去就に注目が集まる。
どうしてクラブは、財産を簡単に手放すのか……。
鹿島は計画的に世代交代を進め、本田泰人、秋田豊、相馬直樹らの世代から、柳沢敦、小笠原満男、中田浩二、本山雅志らの世代にバトンが引き継がれ、それは今、大迫勇也、柴崎岳、山村和也らの世代に引き継がれようとしている。
ジェフ千葉もかつて「脱オシム」を掲げた時期があった。どうしてクラブは、築きあげてきた歴史や伝統、スタイルといった財産を簡単に手放そうとしてしまうのだろう……。
しかしJ2はスタイルを磨き、勝者のメンタリティを取り戻すのに格好の場でもある。
ネルシーニョに率いられた柏レイソルは「ヴィトーリア(ポルトガル語で勝利の意味)」の精神を確かなモノにし、J2優勝どころか、翌年にはJ1でも優勝した。
サンフレッチェ広島はペトロヴィッチ監督のもと“ミシャスタイル”に磨きを掛けたし、東京もポゼッションスタイルにこだわり、チームのカラーとして定着させた。
果たして磐田は、どこへ向かうのか。
願わくは、黄金時代のOBたちが指導者やスタッフとしてクラブに戻り、「磐田のDNA」を復活させてほしい。だが、筆頭候補であっただろう名波氏にはセレッソ大阪から監督就任のオファーが届いているという。名波氏をみすみす他クラブに渡していいのだろうか。
J2降格を名門復活のきっかけにできるかどうかは、フロントの的確な判断に委ねられている。