スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ネイマールと明暗分かれたベイル。
重大“疑惑”を覆すのはいつになる?
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2013/11/05 10:31
セビージャ戦でゴールを決め、スタンドからの声援に応えるベイル。
「プレシーズンなしでスタートしたのだから、ベストパフォーマンスに達するまでには段階を追ってリズムを掴んでいく必要があるのも当然のこと。今日は90分プレーできたので満足している。少しでも早く100%の力が出せるよう、トレーニングを積んでいきたい」
ホームにセビージャを迎えた10月30日のリーガ・エスパニョーラ第11節。レアル・マドリーの選手として初めて先発フル出場を果たし、2ゴール2アシストを記録して7-3の大勝に貢献した直後、ギャレス・ベイルはそう言って笑顔を見せた。
トッテナムとの移籍交渉がもつれにもつれ、レアル・マドリー入団が正式決定したのは移籍市場が閉まる前日の9月1日。それからこの試合を終えるまでの約2カ月は、ベイルにとって長く苦しいものだった。
9月15日の4節ビジャレアル戦ではいきなり先発デビュー。39分にはダニエル・カルバハルのクロスに飛び込みゴールまで決めたが、その後は相次ぐ太ももの故障により足踏みを強いられてしまう。
昨季終盤以来、まともなトレーニングができていない。
その間プレーした試合では、昨季までプレミアリーグを席巻してきたダイナミックなプレーはほとんど見られず。とりわけアトレティコ・マドリー、バルセロナとの上位決戦では全く攻撃面でチームに貢献できず、2つの敗戦を象徴する存在として扱われることになった。
とはいえ、それも無理はない。何せ彼は昨季終盤に負傷離脱して以降、レアル・マドリー移籍が決まるまで4カ月以上もまともなトレーニングが出来てこなかったからだ。
ウェールズ代表のクリス・コールマン監督は先日、今季のベイルのコンディションを次のように不安視していた。