スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ネイマールと明暗分かれたベイル。
重大“疑惑”を覆すのはいつになる?
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2013/11/05 10:31
セビージャ戦でゴールを決め、スタンドからの声援に応えるベイル。
『マルカ』が出したセンセーショナルなスクープとは。
「今回のレアル・マドリー移籍に伴い、彼は大きな重圧を背負うことになった。恐らく今の彼は良いプレーをしなければいけないと意識しすぎているのだろう。フィジカル的にもベストの状態にはない。今後もしばらくはこの状態が続くのではないか」
奇しくもコールマンがこう言った数日後、一般紙を含めスペイン最大の発行部数を誇るスポーツ紙『マルカ』の一面にセンセーショナルな見出しが掲載された。
「Bale tiene una hernia(ベイルはヘルニアを抱えている)」
同紙によれば、サンティアゴ・ベルナベウに4万人が集まったベイルのプレゼンテーションに先立ち、同日に行われたメディカルチェックでベイルの脊椎に椎間板ヘルニアがあることが判明したというのだ。
24歳にして30回の故障歴を持つベイル。
ほどなくクラブは報道の事実を否定したものの、ベイルの脊椎の一部にヘルニアの前兆である椎間板の突出が生じていることは認めた。つまりベイルは「ヘルニア持ち」ではないが、「ヘルニア予備群」であることは事実だったのである。
チームドクターの説明によれば、この症状はスポーツ選手、特にサッカー選手には頻繁に見られるもので、通常痛みやプレーに支障をきたすことはないという。
一方、将来的に手術が必要なレベルにまで悪化する危険性を訴える専門医も少なくない。実際レアル・マドリーでは3年前にゴンサロ・イグアインが同部位のヘルニアを悪化させ、計134日もの長期離脱を強いられた前例がある。
それにベイルは24歳の若さにして、筋肉や関節の故障をすでに30回近くも経験しているケガの多い選手である。メディカルチームやフィジカルコーチが最大限の注意を払って予防策に取り組む必要があることは間違いないだろう。