スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ネイマールと明暗分かれたベイル。
重大“疑惑”を覆すのはいつになる?
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2013/11/05 10:31
セビージャ戦でゴールを決め、スタンドからの声援に応えるベイル。
いまだディマリア、イスコとのポジション争い中。
いずれにせよ、フットボール史上最高額の移籍金1億100万ユーロ(レアル・マドリーは9100万ユーロだったと主張しているが)をかけて獲得した選手が“傷もの”だったという報道は国内外で大きな反響をもたらした。そして、この一件を機にベイルにかかるプレッシャーがさらに増したことは言うまでもない。
こうした周囲の騒音に耐えながらも、ベイルはワールドカップ予選によるリーグの中断期間に、プレシーズンの欠如を補う特別の練習メニューをこなすなどして、地道にコンディションを上げてきている。
だが慣れないセンターフォワードでのプレーを強いられたエル・クラシコのような奇策を除き、彼は今後も戦力外の立場から一転して主力に這い上がったアンヘル・ディマリア、カルロ・アンチェロッティが目指すポゼッション重視のスタイルには欠かせない存在のイスコらと、中盤2列目の定位置を争っていくことになるはずだ。
明暗分かれたバルサのネイマール。
着々と存在感を増し、クラシコでも1ゴール1アシストと結果を出したバルセロナの新戦力ネイマールとは対照的に、現状ベイルは自らの移籍金に見合った活躍を見せることができていない。
それどころか、アンチェロッティはいまだにベイルと他のクラックたちを併用する術を見いだせておらず、ファンやメディアは「ベイルをどのポジションに起用するべきか」なんて議論を繰り返している。
コンディショニングの遅れと定まらぬ起用法。フットボール史上最も高額の男がこれらの障害を乗り越え、プレミアリーグMVPを受賞した際の輝きを放ちはじめるのはいつになるだろうか。