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4連覇直後の感謝、感謝、感謝……。
プロストに並んだ若き王者ベッテル。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/11/03 08:01

4連覇直後の感謝、感謝、感謝……。プロストに並んだ若き王者ベッテル。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

4連覇を決めたレース後、スタンドに向かってグローブを投げ入れたベッテル。圧倒的な強さとこの気さくさの共存が、人気の理由の1つであることは間違いない。

記者会見で続いたライバルたちへの感謝の言葉。

 謝辞はレース後の記者会見でも続いた。それはこれまで自分とバトルを繰り広げてくれたライバルたちに対してである。

「4連覇を達成して、みんなはプロストやファンジオ、そしてミハエル(シューマッハ)と比較してくれるけど、僕にはまだピンと来ないんだ。だって、僕のライバルたちだって、十分素晴らしい才能の持ち主だからね。例えば、フェルナンド(アロンソ)は僕がテレビでF1を見ていたころに勝ちまくっていたドライバーで、ここ数年はもっとも厳しい相手だった。ルイス(ハミルトン)が持っているナチュラルな才能はほかのだれもかなわない。ニコ(ロズベルグ)は少し過小評価されているよね。そのほかマークにキミ(ライコネン)、ジェンソン(バトン)もみんな素晴らしいドライバーたち。そんな彼らとレースができることに感謝したい」

ベッテルほど謙虚なチャンピオンは見たことがない。

 最後に感謝の気持ちを伝えるべく、ベッテルが向かったのはガレージとその裏にあるチームホスピタリティハウスだった。メカニックたちやケータリングサービススタッフたちの撤収作業を手伝うためだった。

 ニューウェイは言う。

「ベッテルほど謙虚なチャンピオンは見たことがない。過去3度もチャンピオンになりながら、彼はその成功や名声にあぐらをかいたことは一度もなかった。地にしっかりと足を着け、われわれと共に歩いてきた。だから、チームにいるみんなが彼のためにハードワークし、さらなる好結果を生んでいるんだ」

 4度目のタイトルは通算獲得回数でアラン・プロスト('85~'86年、'89年、'93年)に並んだ。4連覇は偉大な王者ファン・マヌエル・ファンジオ('54~'57年)と肩を並べる大記録である。そして、来年はミハエル・シューマッハ(2000~'04年)の5連覇に挑む。それでも、ベッテルの本当の偉大さは、そんな数字には見えないところにある。それはこれまで見て来たどのチャンピオンにもないベッテルの素晴らしさでもある。

 ベッテルを同じ時代に見ることができたことに、私たちこそ感謝したい。

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セバスチャン・ベッテル

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