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鈴鹿消滅もあり得る!? 開催権料が高騰一途にもかかわらず、大阪観光局がF1を誘致する裏事情

posted2024/01/26 11:00

 
鈴鹿消滅もあり得る!?  開催権料が高騰一途にもかかわらず、大阪観光局がF1を誘致する裏事情<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ファンなら見慣れた日本GPのスタートシーン。聖地鈴鹿の命運やいかに

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 1月23日、大阪観光局がF1の誘致を目指すことを明らかにした。

 大阪がF1に興味を示したのは今回が初めてではない。2019年に大阪市長時代の吉村洋文・現府知事が、大阪万博の会場にして、カジノを含むIR(統合型リゾート)も建設される予定の夢洲でF1を開催したいという意向を示したことがあった。 しかしその後、行政による運営では採算が合わないなどの理由で誘致は断念された。

 その大阪が再び動き出した。それにはF1を取り巻く状況が、最近になって急速に変化していることが関係している。

 これまでのF1は、常設のサーキットで行うことを基本として年間のスケジュールが組まれてきた。F1発祥の国イギリスにあるシルバーストン・サーキットがそうであり、現在日本GPの舞台となっている鈴鹿サーキットもレース専用のコース。かつて市街地サーキットで開催されたレースは、モナコGPやアデレードでのオーストラリアGPぐらいだった。

 だが近年では、市街地サーキットで開催されるケースが増えてきた。シンガポールGP、アゼルバイジャンGPがその代表であり、昨年復活したラスベガスGPもコースの大部分が一般道を閉鎖した市街地コースだった。24年に行われる24戦中、コースの一部が一般道になっているものも含めて市街地で行われるF1は、全体の約3分の1まで増加している。

 その理由は、常設サーキット場の運営に莫大な維持費がかかるためである。それでも、F1(正確にはF1の商業権を管理するリバティ・メディア)側との間で定められている開催権料がそれほど高くなかった時代なら、莫大な維持費をかけてでもF1を開催することで得られるメリットのほうが大きかった。

開催権料高騰で消滅するグランプリ

 しかし、近年の物価の高騰とともに、F1側も開催権料を高く設定しなければならなくなった。常設のサーキットを舞台にした伝統的なグランプリの開催権料が約20億~30億円だったのに対して、21年から開催されたサウジアラビアGPの開催権料は年間1億ドル(約140億円)とも言われている。サウジアラビアの場合は多額のオイルマネーも関係しているが、シンガポールなどの市街地開催ならアクセス面から多くの集客が見込まれ、宿泊代などの経済波及効果も大きく、高騰する開催権料を支払っても収益が出せる仕組みとなっていると考えられる。

 これに対して、大都市から離れた常設のサーキットで行われることが多いヨーロッパの伝統的なグランプリは、次々にF1開催を断念。ドイツGPは19年を最後に、フランスGPも22年限りでF1のカレンダーから姿を消し、モナコGPやベルギーGPといった歴史のあるグランプリももはや安泰ではなくなっている。

【次ページ】 鈴鹿を存続させるために

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