フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
アメリカGPに舞った2枚の「日の丸」。
浅田と町田のW優勝でシーズン始動!
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2013/10/22 10:31
優勝した町田は、「自分から勝ちを狙いにいって、自分の力で優勝をつかむことができたのは、本当にうれしい。4回転ジャンプの調子はよくなかったが、これからも続けていきたい」とコメントした。
浅田真央、スケートアメリカで独走の初優勝。
女子では、浅田真央がSPからトップを保って独走優勝を果たした。
シニアのGPシリーズに上がって今年で9シーズン目。GPの6大会とファイナルを含めて、実は彼女が唯一タイトルを持っていなかったのが、このスケートアメリカで、出場したのは2006年以来2度目のことだ。
SP「ノクターン」は奇しくも、2006年に彼女がこの大会に初出場した時に滑った音楽である。今シーズン、成長した自分で再びこの音楽を表現したいと願い、振付師のローリー・ニコルと相談してこの音楽を選んだのだという。
冒頭の3アクセルを成功させ、コンビネーションを予定していた3フリップは単発になったものの、後半の3ループの後に2ループをつけて、コンビネーションにした。最後のレイバックスピンも美しく決まり、ノーミスで滑りきった。73.18という高得点が出たときは、本人も少し驚いた表情を見せた。
「ここ数年、GP大会の初戦で良い滑りを見せることができなかったので、ここでまずまずの滑りができて嬉しいです」
会見では、明るい表情でそう語った。
調子が上がってきたのはなぜか、と海外メディアから聞かれると、「バンクーバー五輪後、佐藤コーチとスケーティングもジャンプも1から基礎をやりなおしてきた。今シーズンに入ってから、それがようやく形になってきたと手ごたえを感じています」と答えた。
3アクセルで転倒するも、自己ベストに迫るスコア。
フリー、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」では冒頭の3アクセルで大きく転倒。だが素早く立ち直り、3フリップ+2ループなど、5回の3回転ジャンプを成功させ、残りをノーミスでまとめた。5コンポーネンツも8点台後半が並んでフリー131.37、総合204.55でトップを保って優勝した。バンクーバー五輪で出した自己ベストの205.50にせまる高得点だった。
「もっと上を目指せる」
「演技の内容には満足していません。でもここで課題もまた見つかって、次につながる大会になったと思います」
転倒した3アクセルは踏み切った感触は良い感じで、片足で着氷できる、と思ったという。だがこの失敗にもかかわらず、2度の3アクセルを成功させたバンクーバー五輪に近い点が出たことを指摘されると、「あ、そうですか」と一瞬驚いた顔をした。
「バンクーバーの時とまた違って、今はスピン、ステップのレベルも安定し、ジャンプもルッツまで種類を入れている。得点としてはこの演技でこれだけもらえるというのはすごく満足です。さらに練習していけば、もっと上を目指せるんじゃないかなというように感じています」