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松田直樹はなぜ、
愛され続けるのか。
~著者・二宮寿朗が語る「闘争人」~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2013/09/18 06:00
『闘争人 松田直樹物語』(右) 『松田直樹を忘れない。~闘争人II 永遠の章~』(左) 二宮寿朗著 三栄書房 1524円+税(2冊とも)
松本山雅時代の肉声を聞き直し、気づいた苦悩。
――――取材を通して、二宮さん自身も知らなかった松田直樹像というのが浮び上がってきたのではないですか?
「実は彼のことを本当にわかっていなかったのだな、と衝撃を受けました。特に、松本山雅での8カ月は、右ひざの怪我と戦いながら、絶対的な中心選手として、チームの結果がでないことに相当悩んでいた。僕が取材した際には、弱みは見せず、前向きな発言をしていたのですが、あらためて肉声テープを聞き直すと、『ああ、こういうことだったのか』とわかることがあります。何でもっと彼の深い部分での苦しみを理解できなかったのかと」
――――読後も、松田直樹はみんなの中で生き続けているという気になりますね。
「彼は本当に真剣にサッカーと向き合い、そして人と向き合ってきた。一見、豪傑に見えますが、実は繊細で正直で、努力家。それを知っているからこそ、彼が倒れた直後に、現役の選手も含め本当に多くの人が着のみ着のままで松本まで駆けつけた。その光景は忘れられませんし、松田直樹がいかに愛されているかを象徴しているのではないかと思います」