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セナやシューマッハーを越えるのか!?
F1史上最年少王者の“神童”ベッテル。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2010/11/16 12:00

セナやシューマッハーを越えるのか!?F1史上最年少王者の“神童”ベッテル。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

1シーズン10回以上のPP獲得者は史上7人目となる快挙。

 1シーズン10回以上ポールポジションを獲得したドライバーはナイジェル・マンセル(14回/'92年)、アラン・プロスト(13回/'93年)、アイルトン・セナ(13回/'88年、'89年。'90年には10回)、ミカ・ハッキネン(11回/'99年)、ミハエル・シューマッハー(11回/01年)、ジャック・ビルヌーブ(10回/'97年)に並ぶ大記録。

 ベッテルはこのほかにもいくつもの史上最年少記録を打ち立てている。

 最年少入賞(19歳349日/'07年アメリカGP)、最年少ラップリーダー(20歳89日/'07年日本GP)、最年少PP(21歳72日/'08年イタリアGP)、最年少表彰台、最年少優勝、最年少ポール・トゥ・ウィン(ともに21歳73日/'08年イタリアGP)、ポールポジションとファステストラップと優勝を独占するという最年少ハットトリック(21歳353日/'09年イギリスGP)。

 しかし、神童と呼ばれた青年はまだタイトルは手にしていなかった。

ベッテルは圧倒的に速い……が、安定性に欠けている!?

 空力の天才、エイドリアン・ニューウェイがデザインを手がけたレッドブルRB6は、ベッテルの手によって最終戦で年間15回目のポールポジションを獲得し、すでにコンストラクターズ選手権を前戦ブラジルGPで制覇していた。年間15回のポールポジション獲得は、'88~'89年のマクラーレン・ホンダ、'92~'93年のウイリアムズ・ルノーに並ぶ史上最多記録。過去4回はいずれもドライバーズとコンストラクターズのダブルタイトルに輝く圧勝だった。

 ところが、今シーズンはレッドブルの2人がタイトル争いに絡んではいたものの、ポイントリーダーが目まぐるしく変わる大激戦。最大要因は、最速マシンに乗り、最速の走りを披露するベッテルに安定性が欠けていたことだった。ベッテルがベルギーGPで自損事故を起こしてノーポイントに終わった翌戦のイタリアGP。いつものようにスターティンググリッドで浜島を見つけてタイヤのことを確認しようとするベッテルに、浜島は苦言を呈した。

「チャンピオンになりたければ、絶対にクラッシュするんじゃないぞ。どんな状況でもいいから、1点でもポイントを取りに行け」

 黙ってコクピットに収まったベッテルは、スタートで出遅れて7番手に後退するものの、スタート時に装着したタイヤでラスト1周まで走り続けるという粘走を披露して4位入賞。アロンソがフェラーリの地元で優勝する陰で、大逆転のシナリオを静かにスタートさせていた。

【次ページ】 “皇帝”が消えたレースで新しいドイツ人王者が誕生。

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