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完全復活の武豊か、5頭のGI馬か。
超豪華メンバーの札幌記念を読む。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/08/17 08:01
前走の函館記念、絶妙のスタートから逃げ切り勝ちを決めたトウケイヘイロー。ロゴタイプも前で競馬ができるだけに見ごたえあるレースとなりそうだ。
武豊が「復活」の兆しを見せている。
昨年はデビュー以来最低の56勝に終わったが、今年は8月11日終了時で58勝を挙げ、本来の力を発揮しつつある。
キズナで自身の最多勝記録を更新するダービー5勝目をマークしたのは記憶に新しいところだ。
「この一勝だけですべてが戻ったと言うつもりはありませんが、浮上のきっかけにしたいですね」
レース後そう話したダービーを含め今年の重賞8勝は内田博幸と並ぶトップタイ。全体の勝ち鞍こそ10位に甘んじているものの、この秋、キズナで自身6度目となる凱旋門賞への参戦も決定、武ならではの存在感を示している。
「いつもの武豊」に戻りつつあることを示す数字。
もうひとつ、今年の武が「いつもの武豊」に戻りつつあることを示す数字がある。
6月16日の函館スプリントステークスとユニコーンステークスから、9月8日のセントウルステークスと京成杯オータムハンデキャップまでの重賞での着順をポイント化して争われる「サマージョッキーズシリーズ」で、武がトップを走っているのだ。
ユニコーンステークス2着、宝塚記念5着、CBC賞7着、函館記念1着、中京記念14着、小倉記念1着のポイント合計が31。2位が内田で29、3位が戸崎圭太で28、4位が岩田康誠で24、5位が福永祐一で23と、僅差ではあるが、今週の札幌記念(GII、芝2000m)を勝てば、独走態勢に入ることができる。
シリーズチャンピオンにはワールドスーパージョッキーズシリーズへの出場権が与えられることもあって、ぜひとも自身初となるタイトルを手中にしたいところだろう。
今年の札幌記念は、札幌競馬場が改修工事中のため函館競馬場の芝2000mで行われる。これまで、函館記念(GIII、芝2000m)が札幌競馬場で行われたことはあった(1994年と2009年)が、札幌記念が函館で行われるのは初めてになる。
函館では大正時代の終わりから昭和の初めにかけて天皇賞の前身である帝室御賞典が行われていたことがあったが、現在行われているもっとも格の高いレースは函館記念などのGIII。なので、'84年のグレード制導入以降、今年の札幌記念が函館で初めて行われるGIIということになる。