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ライバル萩野公介を制し、金メダル。
瀬戸大也“大逆転”までの1年間。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2013/08/11 08:01

ライバル萩野公介を制し、金メダル。瀬戸大也“大逆転”までの1年間。<Number Web> photograph by AFLO

4つの泳法の総合力が問われる個人メドレーでの金メダルは、五輪、世界水泳を合わせても日本人初の快挙だった。

ロンドンでの萩野の泳ぎが転機になった。

 転機となったのは、テレビの中で観たロンドン五輪でのライバルの泳ぎだった。400m個人メドレーで萩野が銅メダルを獲得し、「このままでは終われない」と再起を期した。

 昨年9月、国体の400m個人メドレーで、自己ベストを2秒56と大幅に縮める好タイムで萩野に勝って優勝すると、昨秋は武者修行のように、ドバイやベルリンなど世界各地で行なわれるワールドカップ6大会を転戦し、すべての大会の400m個人メドレーで優勝。さらにバタフライや平泳ぎなど多種目に出場し続け、表彰台に上った回数も20回を超えた。

 昨年12月に行なわれた世界短水路選手権の400m個人メドレーでも金メダルを獲得。今春の日本選手権では、個人メドレーの400m、200m両方で萩野に次ぐ2位となり、世界選手権代表入りを決めた。

 世界選手権での金メダルには、泳ぐ気持ちを取り戻してからの1年間で得たすべてが込められていた。

 今大会には、一昨年の世界選手権、そしてロンドン五輪金メダリストのライアン・ロクテは400m個人メドレーには出場していない。それでも、表彰台の真ん中に立った経験と自信は今後につながるはずだ。

目指すのは萩野と同じマルチスイマー。

 バルセロナからそのまま、次に出場する大会であるワールドカップへと向かった瀬戸は、こう語ったという。

「まだ実感はないですけれど、1回優勝しただけです。今後は自分もいろんな種目で戦えるようになりたいです」

 萩野同様、多種目でのレベルアップを誓う。

 対する萩野。最後の自由形を除けば、思い通りの泳ぎができていたように思える。最後は、個人6種目に出場した疲労からか、失速し5位に終わった。7日、羽田空港に着いた萩野は大会を振り返って言った。

「うれしさよりも悔しい気持ちが大きいです」

 一方で、こうも口にしている。

「楽しかったし、悔しさもありましたし、いろいろ経験ができました。得たものは大きかったです」

 瀬戸に優勝を譲ったものの、今大会、自由形の400m、個人メドレーの200mで2つの銀メダルを手にすることができた。世界大会で個人6種目を泳ぎ抜いた。

 ライバルでありつつ、プライベートでも仲が良いという両者は、互いを高めあいつつ、今大会で得た成果と課題を財産として、前へと進んでいく。

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