詳説日本野球研究BACK NUMBER
今年は“小粒”だなんて言わせない!
開幕直前、甲子園の注目選手たち。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/08/07 10:30
甲子園入りし、守備練習で鋭い送球を見せる大阪桐蔭・森友哉。大阪桐蔭も登場する大会初日8日は18歳の誕生日。怪我を負いながらも大阪大会を勝ち抜いたタフガイは、大優勝旗を再度その手にできるのか。
今も忘れられない尾藤公監督の言葉の強さ。
駆け足で選手権の注目校を挙げていったが、大会が始まればあっと驚く無名校が出現して有力校を食う、というのが甲子園大会の魅力でもある。194cmの大型投手・山田基樹を擁する日川、今は亡き尾藤公の長男・強氏が率いる箕島が、そういう可能性を持った無名校だと思う。
個人的な話だが、私が最も好きな高校野球の監督は尾藤公さんだ。尾藤スマイルばかりが取り上げられるが、尾藤さんの最もすぐれているところは「言葉の強さ」だと思う。高嶋仁・智弁和歌山監督にも共通するが、選手を奮い立たせる一言が胸に刺さるのだ。
優勝した'70年選抜では、マスコミがお膳立てを整えた監督対談で、原貢・東海大相模監督から「箕島は瀬戸内海のどのへんにある島なんですか」と聞かれたことがある。宿舎に帰り選手に「相手の監督から箕島を島だと言われたぞ、お前ら悔しくないのか」と訴え、2回戦で東海大相模を6対2で下した。
気性の激しさを言葉の強さに転化させる技術が天下一品だった。取材中でも言葉の強さは随所に発揮され、尾藤さんの半端でない感情が乗り移ったような情緒的な原稿を書かされた覚えがある。そういう人間を衝き動かす言葉の激しさが強さんに引き継がれているのか、じっくり見させてもらおうと思う。