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自力優勝を狙うアロンソとウェバー。
両者の泣き所は“8基目のエンジン”。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/11/05 10:30
一時はチームメイトのベッテルとの不仲も伝えられたウェバー。なにかとシューマッハと比べられて大変なアロンソ。どちらも一歩も引けない年間王者争いとなっている
計算上、自力でタイトルを獲得できるドライバーは2人に絞られた。
混迷を極めた2010年シーズンも残り2戦――数字の上では、依然として5人のドライバーにタイトル獲得の可能性が残されているが、その中でライバルの成績に関わらず、2連勝すれば、チャンピオンになれるというドライバーは2人しかいない。
ひとりは前戦韓国GPを制してチャンピオンシップでトップに立ったフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)。もうひとりは、その韓国GPで今年2度目のリタイアを喫したものの、ランキング2位に踏みとどまっているマーク・ウェバー(レッドブル)である。
この2人をランキング3位のルイス・ハミルトン(マクラーレン)が210点で追い、以下4位セバスチャン・ベッテル(レッドブル)206点、5位ジェンソン・バトン(マクラーレン)189点と続く。
ハミルトン以下のドライバーは、たとえ2連勝しても、アロンソが2戦とも2位をキープし続ければ、逆転することはできない。アロンソ以外では唯一、ウェバーだけが2連勝すれば、アロンソは連続2位以下となるため、270点対267点で逆転できるというわけだ。
つまり、数字の上ではアロンソとウェバーが圧倒的に有利。プロ野球に例えるなら、マジック2が点灯しているという状態だ。
アロンソ、ウェバーともに“8基目のエンジン”がネックに。
しかし、このマジックも決して絶対的なものではない。
もしブラジルで無得点というようなことに陥れば、たちまちマジックが消滅するだけでなく、ライバル勢に逆マジックが点灯しかねないからだ。
そして、そのアロンソを悩ませている問題がエンジンである。
現在のF1は、年間で8基しか使用が許されていない。
何らかの理由で9基目を投入する場合、ペナルティとして10番手降格となる。そして、この8基目のエンジンをアロンソ(フェラーリ陣営)は第14戦イタリアGPで投入していたのである。