ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
モデル、高額チケット、ネット配信……。
個性豊かな女子ゴルフ界の試み。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/08/01 10:30
サマンサタバサ・レディースでは、ホールアウト後にイベントを開催。所属の(左から)堀奈津佳、山村彩恵、香妻琴乃らもイベントを楽しんだ。
プレミア感、ネット中継……。独自の試みは実を結ぶか。
そして4日間大会へと生まれ変わった今年は、ギャラリーサービスに大きな変化を加えた。予選2日間の当日券は2000円から5000円、さらに決勝ラウンド2日間は3000円から10000円へと大幅に値上げしたのだ。金額が上がったぶん、会場での飲食代はアルコール商品をのぞいてすべて無料とした。
門戸を閉ざすことに批判の声はあるものの、来場したギャラリーには、他では味わえないプレミア感を提供する。自ら敷居を高くすることで、この大会でしか味わえない差別化を図ったのだ。
3月に行なわれたTポイントレディスは、3年目を迎える今年、視聴者への付加価値を意識した改革をした。レギュラーツアーで初めてインターネット中継を導入したのだ。通常、トーナメントがテレビで放映されるのは、2日目の午後と最終日の午後のみ。そこで、初日、2日目の14時までの模様は生放送でネット中継をした。
昨年、大掛かりなテストを行い、ようやく実施にこぎつけたネット中継。両日ともに地上波では“不可能”といえる7時間超(計15時間半)のオンエアだった。ネットなら、ソーシャルメディアを活用した視聴者と出演者双方のやり取りに加え、スマートフォンやタブレット型PCといった携帯可能なデバイスでも観戦できる。初の試みではあったが、最終的に60カ国以上の国々からアクセスがあったという。
既存の大会にはなかった付加価値をつけることで、独自性を生み出しはじめた女子トーナメント。選手のプレーを尊重する一方で、様々な“仕掛け”が実を結び始めている。
観客動員や視聴率が、一部のスター選手の出場に大きく左右される、プレーヤー頼みの男子ツアーの現場からは、隣の芝がホントに青く見えるのだ。