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サッカー界の“サグラダ・ファミリア”、
問題児カッサーノがパルマで再出発。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/07/16 10:30

サッカー界の“サグラダ・ファミリア”、問題児カッサーノがパルマで再出発。<Number Web> photograph by AFLO

「ここが最後の場所になることを願っている」と意気込むカッサーノ。

未完の超一流“サグラダ・ファミリア”と呼ばれて。

 監督ドナドーニが指定した第1次キャンプ地は、故郷プーリア州の海沿いにあるリゾート地だ。運動不足のまま水着姿で乗り込んだカッサーノには、連日砂浜でのランニング・メニューが課されている。

 キャンプ中の12日、問題児は31歳の誕生日を迎えた。「主役の俺は実力を7、8割発揮できれば十分」と放言癖は相変わらずだが、三十路を越えて本音も漏れる。

「俺さ、ときどき考えるんだ。今までいたビッグクラブで、もうちょっとだけ落ち着いて振舞っていたら、どんだけ成功できたんだろうってね。一人で月まで行っちまうような、とんでもないレベルまでやれてたんじゃないかなあ……」

 地元紙は、“未完の超一流選手”カッサーノをバルセロナの世界遺産に喩えて“サッカー界のサグラダ・ファミリア”とまで評した。バロンドールも夢ではなかったはずの彼のベストシーズンは、まだ誰も知らない。

 少々たるんだお腹が完全に引き締まるまで、夏いっぱいはかかる。悪童の7度目の正直は始まったばかりだ。

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#パルマ
#アントニオ・カッサーノ
#ロベルト・ドナドーニ

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