スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER

FIFA最優秀選手賞とバロンドール。
~合体後初の栄えある受賞者を占う~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2010/09/26 08:00

FIFA最優秀選手賞とバロンドール。~合体後初の栄えある受賞者を占う~<Number Web> photograph by Getty Images

昨年、“最後”のバロンドール(フランス語で「黄金の球」という意味)受賞者となったメッシ

 アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞が合体したらどうなるだろうか。

 仮説としては考えられなくもない。両賞の受賞作品や受賞者がときおりかぶってしまうからだ。2010年でいえば、主演男優賞が重なった(ジェフ・ブリッジス)。'09年には作品賞が同じだった(『スラムドッグ$ミリオネア』)。ほかにもあるが、煩を避けよう。

 私個人としては、合体に反対である。ニューヨーク映画批評家協会賞やロサンジェルス映画批評家協会賞の選考基準に比べてゴールデン・グローブ賞の独自性が薄いことは事実だが、いまのところは「アカデミー賞の下描き」と呼ばれるほどには落ちぶれていない。まあ、もう少し個性は出してもらいたいが。

 こんなことを言い出したのは、FIFAが選出する年間最優秀選手賞と〈フランス・フットボール〉誌が選出するバロンドールが、今年から一本化されるためだ。名称はたしか「FIFAバロンドール」となるはずだ。

 こちらの合体には、私は賛成である。

サッカー史に残る最初のトロフィーを手にする選手は?

 歴史を見るかぎり、両賞の差は大きい。バロンドールが1956年に創設されたのに対し、FIFAの賞は'91年創設だから、まだ成人式さえ迎えていない。

 だがここ数年、2007年がカカ、'08年がクリスチャーノ・ロナウド、'09年がメッシといった具合に、双方の受賞者はほぼ完全に重なってきた。いや、バロンドールの権威は1970年代からすでに失墜しているとする辛辣な意見さえある。

 そのことは、まあいい。

 私の興味は、記念すべき最初のトロフィーがだれの手に渡るかという問題だ。

 ご承知のとおり、2010年のワールドカップではスペインが優勝した。少し前のチャンピオンズリーグを制したのはインテルだった。いいかえれば、両方のタイトルを手中にした選手は存在しない。

 タイトルに一番近い場所にいたのは、インテルのスナイデルだ。もしオランダがワールドカップの決勝で敗れなければ、彼は2冠に手が届いていた。が、オランダはあまり芳しくない戦い方で南アを去った。大会で5得点を挙げたスナイデルに罪はないが、印象点が下がったことは否めないだろう。

【次ページ】 CLもW杯も、メッシには微笑まなかった……。

1 2 NEXT

海外サッカーの前後のコラム

ページトップ