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岡田武史がW杯直前の暗闘を激白!
あの「突然の戦術変更」までの苦悩。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2010/09/16 10:30

岡田武史がW杯直前の暗闘を激白!あの「突然の戦術変更」までの苦悩。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

韓国戦の前に、勇気を振り絞って選手に休みをとらせた。

 コンディションの面で言えば、もうひとつ。岡田は5月15、16日にJリーグが中断すると、韓国戦(24日)の前に4~5日間の休養を取らせた。岡田は南アフリカの地で「あの休みが大きかったのかもしれない」と語っているのだ。

 今回、あらためてこの話をふると、岡田の語気は急に強くなった。

「(休ませることに)めちゃくちゃ勇気がいりましたよ。だって今までのW杯のなかで今回、準備期間が一番短い。でもゴールデンウィークの連戦のことを考えれば、やっぱり休みが必要だと思った。韓国はもっと前からキャンプをやっていて、しっかり準備していました。まあでも(日本の場合は)あそこで休ませなきゃならなかった」

 W杯に入る合宿の前に、選手にまとめて休養を与えるというこの考えも、1年も前から語っていたことだったのだ。

 痛みを伴う“突貫工事”で本大会に臨む岡田の手法に、批判の声は当然ある。もちろん岡田の決断によって試合から外れた選手たちの「フォア・ザ・チームの精神」や、戦術の急な変更にも適応できた個々の選手の力がなければ、快進撃などあり得なかった。

 ただ、本大会を見据えて逆算しながらチームづくりを進めていった岡田のマネジメントを改めて俯瞰してみると、岡田がピッチの内外を問わず、あらゆる角度からチームを眺めていたことがよく分かる。大胆な決断を下せたのも、過去、自らが率いてきたチームを変えるときにどうすれば効果的だったのかという経験則があったからなのである。

 運を掴めるか、それとも掴み損ねるか。

 運を掴み取るために岡田が妥協なく取り組んだチームマネジメントから、学ぶところは決して少なくない。

 岡田武史・前日本代表監督へのインタビューは長時間にわたって続いた。その語られる言葉の全ては重く、また確固たる意志を反映するかのように硬質なものだった……。
  ネットの記事では収まりきれないこのロング・インタビュー。全貌は本日発売のNumber762号の掲載記事でご確認下さい。
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