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カルチョの名将は日本をこう変える!
“ザック・ジャパン”の方向性を探る。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2010/08/31 12:00
日本的なしがらみを打破し、新しいサッカーを作る!
ACミラン以降は、ラツィオ、インテル、トリノ、ユヴェントスとクラブを渡り歩いてきたが、そのすべてがシーズン途中の代打としての起用であり、インテルで4位に終わった以外、結果も残せていない。シーズン途中の交代で、かつ短期間でチームを建て直すのは、どんな監督でも難しい仕事ではあるが、ACミラン以降、9年間もさしたる結果を出せていないのは、勝負師として不安が残る部分である。
ではそんなザックに、今、真に求められているものは何なのか。
スペインは、誰が代表監督になってもパスを繋ぐ、攻撃的サッカーを貫く。それ以外は、スペインサッカーにあらず、というプライドがスペイン人には垣間見える。南アフリカW杯でも彼らは、そのスタイルを貫いて優勝した。強豪国には、そうした確固たるスタイルがある。原強化担当・技術委員長の狙いも、そこにある。南アフリカW杯で結果を出したストロングポイントを継続しつつ、日本的なしがらみを打ち破り、これまでの日本にないスタイルを作り出し、定着させる。それをイタリア人のザックに委ねたのだ。
30歳からコーチ業をスタートさせ、初めてナショナル・チームを指揮するザックのデビュー戦は、10月8日、アルゼンチン戦になる。カルチョの世界を生き抜いてきた名将にとっては、願ってもない相手なはずだ。南米の強豪相手に“何”を見せてくれるのか。その“何か”が、ザック日本代表の行く末を象徴するものになるはずだ。