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<ここがヘンだよ、日本サッカー(2)> 本田圭佑の元指揮官が教える“ケイスケ起用法”。
text by
若水大樹Daiki Wakamizu
photograph byPICS UNITED/AFLO
posted2010/09/01 06:00
本田圭佑のオランダ時代の指導者として知られるVVVフェンロ監督の
ヤン・ファンダイクが、日本代表のチーム作りについて直言する。
――今回のW杯での日本代表の試合内容を総合的に見るとどう思われますか?
「思っていたほど悪くはなかったという印象。ただ、私は日本の選手を良く知っているわけではないが、確実にいえることは(本田)ケイスケのポジションは間違っていた。私なら絶対にセンターフォワード(CF)では起用しない。彼はもっとゲームメイクに加わるポジションでプレーさせるべきだ。だからもう一列ポジションを下げたほうが良かった。それに日本代表にもきっとほかに前線でプレーできる選手はいたはずだ。そうしていたほうがもっと強いチームになれたと思うし、もっといい成績が残せていたかもしれない」
――W杯直前まで日本代表はいろいろ試した結果、本田をCFで起用することになった。成績は残せたから、結果的にはOKでは?
「でも、ケイスケがトップ下をやっていればもっといい成績が残せていたかもしれない。私は頑固な性格の持ち主だ。今回の日本代表に関してはもっと可能性を秘めていたと思うし、ほかのやり方があったと確信している。もっといいチームになれていたはずだ」
――フェンロでは彼のベストポジションがトップ下だということは明らかでしたが、まだその地位は日本では得ていなかったんですよ。
「ケイスケの本職はトップ下だ。ストライカーとして起用してももちろん機能はすると思う。ただ彼本来のポジションでプレーできていたら、さらに20%いいパフォーマンスを披露できていたはずだ」
――カメルーン戦とデンマーク戦での本田の活躍は本当にすごかった。でもオランダ戦では機能できていなかった。
「オランダ戦でマークされたのは当然。あの試合で活躍できなかったのはケイスケのせいとは言えない。なぜならCFの方がMFより簡単につぶせる。CFは2人のセンターバックにマークされているが、MFならばマークにつくのは1人だけだ。本当にいい選手にはその能力を一番発揮できる環境を与えてあげることが必要。やっぱり私が日本代表の監督をやらなきゃいけないかな(笑)」