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<ここがヘンだよ、日本サッカー(1)> 南アW杯準優勝監督が語る“日本の失敗”。
text by
若水大樹Daiki Wakamizu
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2010/08/31 06:00
日本の守備的な戦術変更は「正直うれしかった」。
――逆に、日本がW杯直前でシステムを180度変えた事に関してはどう思いますか。今までの4年間の積み重ねもあるので、あまり利口な選択とは思えないのですが。
「すごく良く質問の意図も分かるが、もし私がこの質問に答えてしまうと、どんな答えであれ日本代表の監督を批判したことになってしまう。それだけは避けたいことだから、答えることはできない。私が言えるのは自分が実際戦って経験した内容だけ。だから日本に関して言えるのは、私たちは強い対戦相手と2度戦うことができたということ。1度目は圧倒されながらも勝利を得ることができた。W杯の対戦では日本はもっと引いた戦い方で、私たちに主導権を譲った。あの時は正直うれしかった」
――フェイエノールトで指導した小野伸二は今大会は出場できませんでした。
「シンジは今まで一緒に働いた中で、一番良いプレーヤーだった。ただ、シンジが悪くなったのは過度に日本代表に呼ばれたからだ。ただでさえフェイエノールトでものすごい数の試合をこなさなくてはいけなかったのに、さらに代表のために、とてつもない移動を課された。そうこうするうちに体調を崩すことが多くなり、それが怪我を重ねる要因になったのかもしれない。当時も言ったが、私は日本代表がシンジに無茶をさせたことが彼の能力を奪ってしまったと思っている。日本に戻って、また活躍してくれていると聞いてうれしいよ」