詳説日本野球研究BACK NUMBER
打撃優位のチームが躍進した、
夏の甲子園を総括する。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/08/25 10:30
興南以外でも目立った、攻撃力がすば抜けている高校。
選抜では4番の左打ち・真栄平大輝のほうがよく見えたが、今大会、真栄平は右肩を中に入れる(時計と逆回りの方向に右肩を小さく回す)悪癖に取り憑かれ、絶不調に見舞われた。体が開かないように右側面に壁を作ることを意識しすぎた結果だと思うが、捕手寄りでボールを捉えるということは、こういう悪癖を招きかねない。それほどのリスクを伴った難しいバッティングを、我如古を含めた興南選手はいとも簡単に実行していた。「凄い」と言うだけでは形容しきれないほど非凡な能力である。
興南以外では九州学院、北大津、鹿児島実なども攻撃力が際立っていた。九州学院は萩原英之(一塁手)、溝脇隼人(遊撃手)の1年生、鹿児島実は浜田竜之祐(三塁手)、揚村恭平(一塁手)の2年生がチームに活気を与え、北大津は小谷太郎(右翼手)、山口元気(捕手)の3年生がチームを牽引した。個人では後藤駿太(前橋商・中堅手)、磯村嘉孝(中京大中京・捕手)、山田哲人(履正社・遊撃手)の3人がドラフト候補の名に恥じない活躍をし、スカウトの熱い視線を浴びていた。
今年の夏、輝いた好選手たちを寸評と共に一挙発表!
では最後に、今大会に目立った選手をポジション別に挙げていこう。
<投手>
成瀬 功亮(旭川実・右右)182/81……突如出現した無名の剛腕
田中 一也(仙台育英・右左)183/81……初戦で147キロを記録
中川 諒(成田・右右)181/77……球威よりもキレで4強に進出
一二三 慎太(東海大相模・右右)184/85……サイドからの150キロは驚き
柿田 裕太(松本工・右右)181/77……初戦大敗も間違いなく大物
近藤 佳史(いなべ総合・右右)178/76……ボールの角度は一級品
長谷川 陽亮(福井商・右右)182/80……自己最速148キロを証明
横江 巧真(北大津・右左)181/84……指先が故障しても144キロ
平良 寛太(履正社・右右)178/68……鳥が羽ばたくような横手投げ
西口 輔(天理2年・右右)174/81……1回だけでも大物の予感
青木 勇人(智弁和歌山2年・左左)175/68……岡田俊哉を彷彿とさせた
有原 航平(広陵・右右)187/87……今大会ナンバーワン右腕は確実
白根 尚貴(開星2年・右右)185/91……体型直せば来年のドラ1
岩本 輝(南陽工・右左)180/80……開かないフォームピカ一
前田 克樹(明徳義塾・右右)178/72……背番号6でもセンス抜群
田中 太一(大分工・右右)179/77……体の開きがなくなれば大成
押川 龍太(延岡学園・右左)174/66……アーム式解消で躍進を期待
島袋 洋奨(興南・左左)173/65……縦・横の角度で打者を翻弄
<捕手>
星 祐太郎(聖光学院・右右)173/71……二塁送球1.8秒台の強肩見事
磯村 嘉孝(中京大中京・右右)178/82……強肩+強打の超高校級
中園 洋輔(いなべ総合・右左)180/80……走攻守のバランスがいい
山口 元気(北大津・右右)174/78……左脇をしめ右腕で押し込む
坂本 誠志郎(履正社2年・右右)173/73……実戦で二塁送球2.02を記録
山川 大輔(興南・右右)171/71……叩きつけるような強打と強肩