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中国の強さが際立った世界卓球。
日本はリオ五輪に向けて仕切り直し!?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byPanoramiC/AFLO
posted2013/05/27 10:31
1回戦で敗れた福原愛。相手のパク・ソンへ(韓国)はベスト16で世界ランク1位の丁寧(中国)にストレートで敗れている。
卓球の世界選手権がパリで行なわれ、日本は男子ダブルスで岸川聖也・水谷隼組が銅メダルを獲得した。
シングルスで松平健太が準々決勝に進出し、世界ランキング1位のキョ・キン(中国)にゲームカウント2対1とリードし、しかも第4ゲームはジュースにもつれこむ熱戦。
「勝てるチャンスはあったのに、その1本、2本を逃したのが悔しい」
と松平は振り返ったが、中国の背中は決して手の届かないところにあるのではない。実際に国際大会では勝利した相手だったし、今後に期待出来る内容だった。
ロンドン・オリンピックではメダル獲得が期待されていたものの、結局は手が届かなかった男子だが、実力は十分に持っていることを改めて示した大会になったと思う。
特に水谷は、ロンドン・オリンピックが終わって、規定外の接着剤が横行していることに抗議して大きな大会から一時的に遠ざかっていただけに、メダルを獲得したことに、素直におめでとう、と言いたい。
「もっと強気で行けば……」と反省するも手応え十分。
水谷自身は、準決勝で中国ペアにストレート負けしてしまったが、手ごたえを感じ取っているようだ。
「3ゲーム目、10対7でリードしていてそのゲームを取れなかったのが非常に痛い。もっと強気で行けば良かった」と試合を振り返り、「今回、金メダルを狙えるチャンスがあっただけに悔しいです。シングルスは初戦で負けたけど、こういう大舞台で勝てるように成長していかなければいけない」と前向きな話をしていたので、ひと安心といったところだ。
「違う競技を選べばよかった」というほど、接着剤の問題に関しては腹に据えかねるものがあった水谷。
来年の世界選手権は、東京で団体戦が行なわれるだけに、地元でいい戦いを見せて欲しい。
“未知の強豪”に足下をすくわれた福原愛と石川佳純。
一方、ロンドン・オリンピックの団体で銀メダルを獲得し、リオデジャネイロ・オリンピックに向けて、さらなる飛躍が期待されていた女子。
パリは、福原愛が10年前の2003年、シングルスで準々決勝まで進出し、ブレイクのきっかけとなった場所でもある。パリで再びの快挙、できれば中国選手にひと泡吹かせてもらいたいと思っていたのだが、甘かった。
福原は1回戦で、最近では国際大会にあまり出場経験がないパク・ソンヘ(韓国)に足をすくわれた。
情報が少ないのが、プレッシャーになったかもしれない(昨今の卓球は情報戦がすさまじい)。
また、石川佳純も3回戦でリ・ミョンスン(北朝鮮)に敗れた。相手は日本勢が苦手とするカットマン。石川は、「カットの変化がわからなかった。途中から自分の得点パターンがわからなくなってしまって」と試合後にコメントしたが、いかに試合中の修正能力が高度になっているかがわかる。