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フェデラー戦勝利をどう見るか?
錦織圭が詰めた「BIG4」への距離。 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byAFLO

posted2013/05/13 12:35

フェデラー戦勝利をどう見るか?錦織圭が詰めた「BIG4」への距離。<Number Web> photograph by AFLO

フェデラーを破った瞬間の錦織。喜びの反面、この勝利に対する複雑な気持ちが出ている表情にも見える。

フェデラー戦での完敗で、自らのスタイルを変えた錦織。

 のちに錦織はこう語っている。

「ジョコビッチに勝って、自信は当たり前にありましたけど、こてんぱんにやられてしまった。自分のいいところをまったく出せずに」

 世界のトップとの力の差が、クリアすぎるほどクリアになった。その隔たりの大きさに愕然とした錦織は「自分から仕掛けないとチャンスは生まれない」と、自身のプレースタイルを見直した。

 今、彼が追いかけるのはフェデラー、ジョコビッチ、さらにアンディ・マリー、ラファエル・ナダルの「BIG4」だ。

 いつかはその4つの高峰を征服しなければならない。それには、現状より1段階も2段階もアグレッシブに戦わなければ勝負にさえならない――この敗戦で、錦織は改めて肝に銘じたのだ。

 屈辱の敗戦から1年半。精進の成果を示す時が来た。

錦織もフェデラーも苦手のクレーコートだったが……。

 舞台は苦手なクレーコートだったが、フェデラーにとってもこれは得意なコートではない。しかも彼は大会前まで2カ月近く実戦を離れていた。序盤のフェデラーのプレーには安定感がなかった。

 錦織は攻撃的なストロークを打ち続け、フェデラーの守備を崩した。積極的な攻めがミスにつながっても、迷うことはなかった。相手の返球が甘くなるまで連続攻撃を繰り出し、最後は決め球をしっかり決めた。第1セット、錦織はワンチャンスをものにして相手のサービスゲームをブレークし、6-4でセットを奪う。

 しかし、第2セットではフェデラーが立て直す。単調な打ち合いを避け、ボールに逆回転をかけるスライスやドロップショットを交ぜて錦織を揺さぶった。このセットはフェデラーの6-1。王者がリズムを取り戻した。

 決着は最終セットにもつれた。

 錦織が後で振り返ったように、立ち上がりのサービスゲームをキープしたことが大きかった。ここまで錦織は2つ続けてサービスゲームを落としていた。このゲームを落とせば2度と流れは戻ってこなかっただろう。

 次のサービスゲームもなんとかキープした錦織は、第4ゲームでフェデラーのサーブを破る。

 3-1。

 一歩抜け出した。

【次ページ】 下位の選手が強豪選手に勝てない意外な理由とは?

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