Jリーグ万歳!BACK NUMBER
中村俊輔好調の陰に中町公祐あり。
マリノス快進撃を支える“サッカー脳”。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2013/04/12 10:30
中町は1985年9月1日生まれ、174cm、74kg。Jリーグは5節終了時点で全試合にフル出場している。
中町の特長はフィニッシュまで絡む“縦への意識”。
横浜FMの好調の要因は、中町公祐にあり。ある日の練習後、本人にこちらの意見を一方的に伝えてみると、彼は少し照れ臭そうに否定した。
「ホントですか!? 嬉しいですけど、そんなことはないですよ(笑)」
――僕はそう思っています。特に去年と違うと感じるのは、単なる運動量ではなく、ボールに対する活動量の多さというか。
「うーん、そうですね……。今振り返ると、去年の最初の頃は自分の良さを消してとは言わないまでも、『チームのために』という考えを念頭に置いてプレーしていた気はします。ただ、昨シーズンの最後のほうは今と同じような感覚でやれていたので、自分のいい部分がチームにフィットしてきたと感じるところはあります」
彼が言う「自分のいい部分」とは、福岡時代に見せた攻撃面での貢献である。
機を見て前線に飛び込み、フィニッシュにまで絡む。自らの判断でチャンスを見極め、勇気を持って一歩を踏み込む。バランサーとして全体を調整する一方で、いざというときに自分で作ったバランスを壊す。そうした“縦への意識”こそが、自身の持ち味であると認識している。
中村俊輔、富澤清太郎らとのイメージの共有が生む円滑な中盤。
では、昨季途中から続くと感じる好調の要因とは何か。
「自分たちで試合展開や内容を把握しながらサッカーをやれている。そこがコントロールできているという実感はあります」
――それは昨年から積み上げてきたもの?
「はい。『今何をすべきか』というチームの意思を、ピッチ内で共有できているというか。特に、ポジションの近い俊さん(中村俊輔)とカンペーさん(富澤清太郎)とは、かなりコミュニケーションを取れている気がしますね」
――特に広島戦では、俊輔選手との距離感が絶妙で、イメージを共有しているなと感じました。
「僕が意識しているのは俊さんになるべく高い位置でボールに触ってもらうことですね。そこはかなり意識的に。俊さんのキープ力はズバ抜けているし、前を向ける、パスを出せる、シュートも打てる。最も能力が高い選手をチームとして活かすためにも、俊さんのポジションを下がらせたくない」
――ただ、2人の前後関係が変わるシーンも少なくない気がします。
「そうですね。以前は、俊さんがパスを受けてから出しどころを探すという状況が多かったんですが、今は逆に、周りにいる選手が俊さんにパスを要求しながら追い越せるようになった。だから、例えば、俊さんが少し下がった位置でボールキープした時は、オレも積極的に前に出るようにしているんです。その関係性もかなり自然な流れで成り立つようになったというか」