サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
4人の“FW”香川、岡崎、清武、乾。
それぞれの葛藤と代表のこれから。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/04/12 10:31
右上から反時計回りで香川、岡崎、清武、乾。4人の“FW”は、6月4日、埼玉スタジアムで迎えるオーストラリアとの決戦でどんな成長を見せてくれるのだろうか。
「真司君が背負っているものがたくさんあった」(清武)
「真司君がどう思っているのかはわかんないですよ。でも、ちょっと、そっとしてあげといて欲しいなと思うんスけどね。ああいう結果で終わった後だし、今回は圭佑君と佑都君がおらんで、たぶん、真司君が背負っているものがたくさんあったので。それがマンチェスターでプレーして、10番を背負う選手の宿命なのかもしれないですけど、でも……」
清武もニュルンベルクではクラブを背負う存在と見られているが、クラブと代表の違いを強調した。
「自分とは違う。代表だったら、やっぱり日本を背負ってるわけじゃないですか? 自分の国を……。カメラも圭佑君いなかったら真司君をばっちり撮るし。そういう難しさはありますよね。日本全体をまだ24歳で、背負うのは……」
キャプテンである長谷部も、香川の能力を認め、むしろそれ以外の選手たちの責任を口にした。本田不在の影響ばかり口にするメディアに釘を刺すように。
「真司は圭佑みたいに体をあててキープするタイプじゃないから、違いはあります。でも、真司の良さは点を取った時みたいにペナルティエリアの中でのプレーだと思うから。もう少し彼をうまくサポートできれば良かった」
周囲が高く評価する一方で、香川は自分自身を追い詰めていく。
チームメイトが香川の能力と貢献度の高さを認める一方で、香川の自分自身への評価は周囲のそれとは大きく離れているように映る。“俺はもっと出来る”“もっとチームのために貢献しないといけない”――。香川が自らを追い詰める理由のひとつは、自分への期待値が高いからだろう。
香川が天才と言われるのを嫌うのは、悩んで、苦しんで、そこからはい上がるというプロセスを何度も経験してきたからだ。順調そのものに見えたドルトムントでの2年間ですら、苦悩とは無縁ではなかった。怪我をして試合に出れない時期があった。チームの戦い方が変わり、自らのコンディションが上がらずに苦しんだことがあった。怪我明けだからしょうがない。チームの状況があるからしょうがない。そんな言葉に耳を貸さずに、なんとか未来を切り開こうとしてきたからこそ、いまの香川があるのだ。だから、代表チームにおける今の苦悩は、さらなるブレイクスルーへの助走期間なのかもしれない。