黄金世代、夢の行方BACK NUMBER
ブラジルの舞台でふたたび主役を!
稲本潤一が南アで得た“執着心”。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2010/07/18 08:00
4年後のブラジルを目指すということがハッキリした!
ただW杯を終えて、改めてハッキリしたことがあったという。
「まず4年後のブラジル大会を目指すということ。振り返ってみると、個人的な悔しさは、ドイツ大会の時よりも大きい。ドイツの時は、試合に出て、負けて課題が見つかったけど、今回はほぼ何も得られない状態で終わったからね。たしかにチームを盛り上げることとか、雰囲気を悪くしないとか、そういうのはチームのために出来たけど、個人では充実していない。悔しいとかいろんな思いの中で今回のW杯は終わったけど、この経験を生かすも殺すの自分次第。4年後に向けて、やるしかないでしょ」
W杯直前、ケガをするまでは代表でもレギュラーとして試合に出ていた。それだけに、本番で出られなかったのは、余計に悔しさを噛み締める結果になった。しかも、2002年日韓W杯で活躍し、W杯がもたらすものの大きさを誰よりも知る男である。
「このまま終わるわけにはいかないんで」
稲本は、強い口調でそう言い切った。
4年後は34歳になる稲本にとって、先の見通しは甘くない。本田圭佑ら北京五輪世代の選手が中心となって、代表チームは大きく若返りを計っていくだろう。だが、それは百も承知だ。南アフリカW杯は、稲本に「もう一度、あの舞台へ」という執着心のような強い気持ちを喚起させてくれた。それを胸に秘めて、彼はリスタートを切る。