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メジャー2年目で何が変わったのか!?
青木宣親が大ブレイクする3つの理由。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySports Illustrated/Getty Images
posted2013/03/18 10:30
オープン戦では「1番・右翼」が定着している青木。打率.288、150安打、30盗塁という昨季の成績をさらに上回る活躍が期待される。
アリゾナで青木宣親の話を聞いてきた。
1年前、オープン戦を終えた青木は車に乗り込むと、すぐさま数時間前の自分の打席を映像でチェックし始めた。
「すみません、感覚が残っているうちに確かめておきたいんです」
と私に断りを入れ、一心に映像を見ていた。
とにかく、必死だった。
去年のスプリング・トレーニングが始まったときは、5番目の外野手。
「とにかく使ってもらえるようにアピールしなくちゃいけないから、2月の時点から100%の状態を作ってました。でも、3日目に監督から『守備要員、代走として考えているから、そのつもりで準備してくれ』と言われたんですよ。あれだけ、気持ちが萎えたことはありませんでした。それに比べれば、今年はどんな流れでスプリング・トレーニングが進んでいるかも分かってるし、自分のペースで調整が進められるのが助かります」
1年という歳月が、なんと大きな違いをもたらしたことか。
そして今年のスプリング・トレーニングでの余裕が、「青木大ブレイク」の予感をさせるのである。
具体的には少なくとも200安打を打ち、首位打者争いに絡むような活躍を見せてくれるのではないか――そんな期待が膨らんでいる。
大ブレイクする理由(1)「1番ライト・青木」の確保。
まず、今季はポジションが確定している。1番ライトで結果を残していけば、シーズンを通して活躍することができ、必然的に打数、ヒット数も増えていく。
青木本人は、
「今年は200安打にはこだわっていきたい。そうすれば打率もついてくると思うし」
といい、さらには本塁打、盗塁の数も増やしていきたいと意欲を見せる。
レギュラーを取る、ということに集中せざるを得なかった昨季と比べ、格段の進化を遂げている。安定したポジションを獲得したことで青木に精神的な余裕が生まれ、さらにはより高い目標を持たせる原動力となっているのだ。