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「スペインには借りがある……」
遠藤保仁のパラグアイ戦、必勝宣言。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2010/06/29 12:00

「スペインには借りがある……」遠藤保仁のパラグアイ戦、必勝宣言。<Number Web> photograph by Getty Images

「内容なんてどうでもいい。勝つことに徹して戦うよ」

 日本は、過去3試合、ロングボールが非常に多かった。最終ラインから繋ぐという形を封印し、失点を防ぎ、セーフティー第1ということで前線の本田圭佑の頭を目掛けて蹴っていた。だが、それからチャンスを作れたことは、ほとんどない。カメルーンの1点目もデンマークの3点目も自陣からボールを繋いで取った得点だった。

「だから、できるだけ最終ラインからも繋げていくことだね。中盤のプレッシャーは厳しいけど、そこの壁をひとつ、ふたつ抜けていけば必ずチャンスになる。そのためには、繋ぐんだっていう勇気が必要でしょ。ビビって蹴っていたら何も始まらないからね。さらに、一人一人の動き出しの良さが必要だし、素早い判断も重要になってくる。そうした連動した動きができるかどうか。ボールを奪って『良かったぁ』じゃなく、ボールを奪ってから、どう繋いでいくか。それが出来て先制点を奪うことができれば、俺はパラグアイにも十分勝てると思う」

 決勝トーナメントは、ドローがない分、勝たなければいけない試合になる。だが、今大会、日本は絶対に勝たなければならないカメルーン戦に勝ち、デンマークにも勝利した。内容はともかく、勝たなければならない試合に確実に勝ってきた。

「勝たなければならない試合に勝つ。W杯という舞台で、それをすることがどれだけ難しいことか。でも、俺らは、それをやってきたからね。そのせいか、日本は勝負強さが出てきたと思う。正直パラグアイ戦も、内容なんてどうでもいい。W杯では、どれだけ勝てるかってこと。そう割り切って戦っているのがいい結果に繋がっている。それは、今回も同じ。勝つことに徹して戦うよ」

「俺は'99年のワールドユースでスペインに……」

 パラグアイを破れば、前人未到のベスト8の戦いになり、しかも相手はスペインとポルトガルの勝者に決まっている。多くの選手が憧れる国との戦いが約束されているのだ。これほど選手のモチベーションを上げる餌は、ないだろう。

「W杯という舞台でスペインかポルトガルのどちらかと真剣勝負ができるチャンスは、滅多にないからね。それに、俺は'99年のワールドユースでスペインにこてんぱんにやられているんで、その借りもある。まぁその前に、パラグアイにしっかり勝って、その挑戦権を手に入れたい」

 遠藤は、決意を秘めた表情で言った。

 チャンピオンズリーグではインテルがバルセロナ、バイエルンら攻撃的なチームをカウンターサッカーで打ち破り、優勝した。インテルと同じように守備をベースにし、グループリーグを突破した日本。1試合ごとに磨きを掛けた堅守で、果たしてパラグアイ戦も結果を出せるか――。

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