ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
3ゴール、5アシストで前半戦終了。
清武弘嗣を覚醒させた、ある試合。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/12/21 10:31
11月28日のホッフェンハイム戦でゴールを決めた清武。この試合の清武にキッカー誌は1.5点と高評価、ビルト紙は最高評価となる1点を付け(共に最高点は1点で最低点は6点)、第14節のベストイレブンにも選出した。
もう一段上のレベルに進むために必要な“個の輝き”。
清武は日本代表でのサッカーとニュルンベルクのサッカーを比較して、こう語る。
「代表だと、上手い選手がたくさんいるし、みんながパスをくれる。でも、ここ(ニュルンベルク)ではなかなかパスもくれない。だから、自分の力で勝ち取っていくしかないと思いますね」
代表で見せるプレーのように、周囲と細かく少ないタッチでパスをつないでいくのが清武の持ち味だ。ただ、技術のレベルで劣るニュルンベルクで、同じようなサッカーを実現するのは不可能なのだ。
ブンデスリーガには、例えばアジアのチームとの試合では味わえない激しさがある。そこを乗り越える個人の力がもっと身につければ、選手としての引き出しが増え、もう一段上のレベルに進めるはずだ。
愛する息子のためになんとしてもゴールを決めたいと願い、「絶対にパスは出さねぇ!」という決意で臨んだホッフェンハイム戦のようなプレーを増やしていくことが、まずは求められるのだろう。
チームメイトである22歳のFWエッスバインはこのように話している。
「うちのチームは、若い選手が中心になって作り上げてるチームだ。監督は、若い選手に求める事が多いから、確かに厳しいよ。でも、だからこそ、ここで良いプレーを続けていければ、シーズンを終えるまでにすごく成長できるはずだよ! キヨはこれまでにものすごく良いプレーを見せた試合があったわけだし、今後、さらに良くなると思うね」
「1年間あっという間に終わったという感じでした」
2012年最後の試合を終えたあと、清武はこう振り返った。
「今年の目標はオリンピックでメダルを獲ることだったし、それに手が届かなかったので、満足はできない。A代表ではやっとゴールを決めれましたけど、なんかこう……1年間あっという間に終わったという感じでした。まずは、このクラブでコンスタントに試合にでて、結果を出していければいいな」