もしかすると……この中から五輪選手が生まれるかも。

　生徒たちの言葉も充実感にあふれていた。

　五橋中学校陸上部で主将を務める植田大貴君は言う。

「今まで知らなかった細かなことを教えてもらって、いい知識を得られました。自分も駅伝に出られるようになりたいです」

　八軒中学校で長距離に取り組んでいるという女子の3人組は口々に言った。

「オリンピックなどに出た人たちに教わって、すごい勉強になりました」

「自分もオリンピックに出てみたいと思いました」

　教室が終わったあと、安原氏は、参加した中学生たちへの思いをこう語った。

「オリンピックや世界陸上で戦ってきたそうそうたる皆さんに教わったわけです。こうした機会を通して、成し遂げたいと考える目標に向かって一生懸命努力する大切さを知り、頑張っていただきたいと思います」

　アスリートの中には、子どもの頃のトップクラスの選手との出会いを原点として語る人も少なくない。それは、ある日、競技場で見た選手のプレーであったり、イベントで訪れた選手とのちょっとした触れ合いだったりする。ささやかな触れ合いが刺激となることがある。

　この日、中学生たちは、世界の舞台で戦ってきたアスリートたちと出会った。

　いつか、この中から、世界の舞台に立つ選手が現れるかもしれない。

　ふと、そんな思いに駆られた。