フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
“勝手に月間MVP”で振り返る、
2012年シーズン、ゴルフ名場面。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2012/12/21 10:30
12月3日に行なわれたジャパンゴルフツアー表彰式では、今年の部門別ランキングや特別賞受賞者の表彰が行なわれた。最優秀選手賞やゴルフ記者賞は藤田寛之。最優秀新人賞に藤本佳則、特別賞に最年少ツアー10勝を挙げた石川遼が選ばれた。
【12月】藤田寛之──遅咲きの43歳が初の賞金王戴冠。
国内男子ツアーは40代が折に触れて注目されたシーズンだった。深堀圭一郎の復活、丸山茂樹の苦闘、谷口徹の粘り、細川和彦の奮戦。そして、藤田の賞金王戴冠である。
藤田を支える優合子夫人は、最近の夫の姿に苦笑いする。「主人の父が九州男児なので、最近は自分で『似てきたな』って言ってます。昔はああいう風にはなりたくないと言ってたはずなんですけど」
シーズン最終戦の日本シリーズJTカップ。すでに2位以下に大差をつけて賞金王は確定的。しかし、消化試合の感を漂わせる他の選手と比べ、世界ランクによるマスターズ出場を狙う藤田の集中力は際立っていた。5打差の圧勝で有終の美。「賞金王は通過点みたいなものです」と語っていた言葉に偽りはなかった。
ときには家族を犠牲にもしながら、「自分が2012年にしてきたことは間違いなく日本一のことをしてきた」と言えるほどに頑固に自分のゴルフを突き詰めてきた。表彰式では「今年はわたしが最強のゴルファーと言うことでよろしいでしょうか」と問いかけ、選手もギャラリーも拍手で称賛の意を示した。賞金王が最終戦を締めくくり、大団円でシーズンの幕は閉じた。
以上の10人を選んでみたが、いかがだろうか。賛否両論はあって当然。全て納得できたという人のほうが少ないかもしれない。あの選手が残した戦績の方が価値がある。いや、こっちの選手だろう。そんな視点が生まれれば、ツアーはまた違った愉しみ方もできるはずである。