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富豪オーナーの堪忍袋は破裂寸前。
トーレス不発でベニテスの首が飛ぶ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/12/17 11:35
欧州王者の9番(写真左)トーレスと南米王者の9番ゲレーロ。世界一のクラブ、世界一のストライカーの座は南米のものとなった。
クラブワールドカップ2012で、最も活躍しなければならなかった男。それは、フェルナンド・トーレスだっただろう。
チェルシー移籍2年目の9番は、優勝最有力候補の新エース。昨季限りで去った旧エース、ディディエ・ドログバの穴埋めをしなかったクラブの補強方針からは、トーレス獲得に5000万ポンド(約65億円)を支払ったロマン・アブラモビッチによる、贔屓にも近い期待が覗える。
富豪オーナーが、11月後半にラファエル・ベニテスを暫定監督に迎えた理由の1つは、古巣リバプール時代の恩師によるトーレスの蘇生と言われる。
今季前半戦でのチェルシーの主役は、エデン・アザール、オスカル、フアン・マタと並ぶ、2列目の技巧派トリオだが、大会公式プログラムに、チェルシー選手を代表して掲載されていたのは、1トップで3名のサポートを受けるトーレスのインタビューだ。プログラムを手に観戦する日本人サポーターによる声援は、女性ファンによる黄色い声を含めて人一倍。スタジアム周辺では、『トーレス 9』のユニフォームを高々と掲げた売り子たちが、グッズ販売に精を出していた。
栄光のスポットライトを浴びたのはコリンチャンスの9番だった……。
しかし、コリンチャンスとの決勝でスポットライトを浴びたのは、相手の9番だった。
68分、パオロ・ゲレーロのヘディングによるゴールが、この試合唯一の得点となって勝敗を分けた。
失点につながった守備は、褒められたものではない。
ゴールライン上には、GKペトル・チェフの他に、ダビド・ルイスとアシュリー・コール。その手前にはラミレスもいた。にもかかわらず、誰一人として迅速に反応できず、ルーズボールを頭で押し込まれている。
但し、チェルシーには、前半に2度の先制機と、終盤に2度の同点機があった。