フットボール“新語録”BACK NUMBER
川崎フロンターレの名物部長、再び。
今度はNHKのキャラとコラボだ!
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byFrontale/NHK・NED
posted2012/11/29 10:30
子供たちに絶大な人気を誇る本家オフロスキー(右)と「オフロンスキー」こと中村憲剛(左)。オフロスキーの小林顕作は脚本家・演出家としても有名で、ダンス・カンパニー・コンドルズの旗揚げからのメンバーであり、阿佐ヶ谷スパイダースなどの客演もこなしている。
小学生未満へのアプローチが非常に難しいJリーグ。
残されたのは中村憲剛を口説くことだったが、心配するまでもなかった。
「憲剛の子供がオフロスキーの大ファンだったし、さらに僕と2人でいろんな取り組みを始めて10年目なんですよね。『Amano&Kengo爆笑企画の10年目だから、AKB10をやろうよ』って伝えて(笑)。そうしたら憲剛も『やりましょう!』って言ってくれました」
11月24日の川崎対清水エスパルス戦で、今回のキャンペーンのチラシが初めて配られた。今後、川崎市内の幼稚園や保育所でも告知されていくという。
こうやって小学生未満の年代にアプローチできるのは、Jリーグのクラブにとって大きな意味がある。
「これはどのクラブにとっても同じなんですが、小学校低学年やそれ未満の年代にアプローチするのはすごく難しいんです。うちの場合、ファミリー層と言っても、小3から小6と親。川崎市内に幼稚園が86、保育園が124あるんですが、そこに対してアプローチできなかった。今回はその年代の子供たちに、チラシやポスターを通じてクラブを知ってもらうことができる。フロンターレにとって、ものすごく大きなことだと思っています」
天野はスペインのセビージャを視察したとき、地元で生まれたすべての新生児にクラブのグッズが配られていることに驚かされた。将来はそこまで手を広げたいと考えている。
「不景気でもディズニーランドには人が集まるんですよ」
「Jリーグはチーム数が多いとか、日本の景気が悪いと言われますが、それを言い訳にしたら何も進まなくなってしまう。不景気でもディズニーランドには人が集まるんですよ。結局は積み重ね。長期的な視野を持ちながら、短期的にどんどん企画を実行する。川の流れをせき止めるために、小石を1個ずつ投げ込むようなものですが、手を休めたらダメなわけで。時間はかかるけれども、いつかは必ずせき止められるはずなんです」
どうやら、天野の頭はアイデアを止める方が難しいらしい。銭湯利用促進企画はこれで最後となるが、次の企画をすでに進めているという。
「たとえば観客全員にアフロのカツラを用意してYMCAを唄ったら、盛り上がりますよね。実はすでにアパレルメーカーとの協力が決まってます。ニューヨークも候補。ニューヨークで入浴。ウルトラクイズみたいにイベントをやったらおもしろいでしょ?」
自治体、組合、TV局など、あらゆるものを巻き込む天野のエネルギーと遊び心が、フロンターレだけでなく、Jリーグの価値をも引き上げようとしている。