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高校教師・山本健一 「先生は世界一のトレイルランナー!? トレーニングは授業と部活で」
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byMami Yamada
posted2012/11/09 06:01
「試合ではタイム、ライバルなどに執着しない」
「ジェルを決まった時間に摂取するのは、かつてハンガーノックになった時の脱力感が嫌で、間違いが起きないように心掛けるようになったからです。二度とあの思いは味わいたくない。テーピングも同じで、それをしていれば間違いがないと思ったからです」
最高のパフォーマンスを出すことこそが、「試合をとにかく楽しむ」というスタイルに繋がることを知っているのだ。
「日々の練習では強くなりたい、速くなりたい、そう思ってトレーニングしていますよ。でも、試合ではタイム、ライバルなどに執着しない。試合は純粋に自分のいいパフォーマンスをしたいだけなんです。でも、ピレネーでの優勝は嬉しかったな。『ヤマモト!ヤマモト!』って地元の人から祝福されたし、レース後に食事に行ってもタダにしてくれましたからね」
プロトレイルランナーになるつもりはないんですか?
最後に多くのトレイルランナーが気になっている質問をぶつけてみた。プロトレイルランナーになるつもりはないんですか?
「プロにはならないと思います。ただ今の環境が変わって、あまり走れなくなってしまったらつらいでしょうね(笑)。だから今の環境にはすごく感謝しています。来年出場するレースはまだ決めていないですね。トルデジアン(イタリアで開催される総距離330km累積標高24000m、制限時間150時間のレース)にはいつか出てみたいけど、しばらくは100マイルの世界を追求していくつもりですね。自分が日本を代表するトレイルランナーになったとはまったく思ってないけど、走ることはずっと続けていきたい。試合を含めて、最高に面白い趣味ですから」
そういって笑うヤマケンは、これからも彼が指導する生徒に、そして彼の走りに憧れるランナーに山を走ることの「最高の面白さ」を伝え続けていくことだろう。