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高校教師・山本健一 「先生は世界一のトレイルランナー!? トレーニングは授業と部活で」
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byMami Yamada
posted2012/11/09 06:01
きっかけは“不純な動機”だったがいつしか「山」の虜に。
いまは山岳部を指導しているヤマケンだが、本人が山で走ることの楽しさを覚えたのは、高校時代に“不純な動機”で山岳部に入ってからだったという。
「中学3年生の時、高2になる年に地元の山梨県でインターハイが行なわれることを知ったんです。その時に何でもいいから地元で日本一になりたい!と思った。ただの目立ちたがり屋かもしれないけど、そう思っちゃったんです(笑)。それで日本一になれる種目を色々と探していたら、近所の親戚のおじさんから『山ならなれる!』と聞いて、決めました。県で一番強かったのが地元の韮崎高校山岳部だったので、韮崎高校に進学したんです。それまではサッカーもやっていて、韮崎高校の3つ上に中田英寿さんもいたんですが、やっぱり山岳部に入った。その結果、見事地元のIHで優勝して、新聞などで大々的に取り上げられました。目標達成です(笑)。今でもその時の新聞記事は取ってありますよ」
その過程で「山」の虜になっていった。
「高校3年間はリュックを背負って走らされましたね。競技としても取り組んだけど、顧問の先生がよく山に連れてってくれて、それで純粋に山が好きになったんですよ」
妻は、レース前にはマネージャーのように厳しく食生活を指導。
トレイルランナー山本健一の原風景はきっとここにあるのだろう。その後、2008年にハセツネ(長谷川恒男カップ 日本山岳耐久レース)で優勝したことで翌年に100マイルレースに挑戦するようになる。でも、なぜ100マイルなのか。
「足が遅いからですよ(笑)。それに短い距離はペースが速すぎてゆとりがなく、楽しめないんです。長い距離の方が道草したり、星を見たり、話をするうちに友達が出来たりする。まさにジャーニー、旅なんですよ。それが僕に合っているんです。それに補給の面などでサポートしてくれる人たちも一緒に楽しめるので、100マイルはみんなで走っていくチーム戦なんですよ。そこがいい」
100マイルレースを走るようになると日常生活に変化が起こった。食事は、肉は食べず、野菜がメインになり、お酒は2009年の夏前にはやめたそうだ。それまでは自分の結婚式で記憶をなくすくらいよく飲んでいたというが、お酒を止めたことでカラダの調子もよくなったという。
「100マイルみたいな長い距離を走るときは、昏睡状態とまではいいませんけど、感覚だけで走るときがあって、普段から正常なカラダの感覚を保っていた方が良いんじゃないかなって思ったんです。お酒を飲んで、24時間のうち酔っぱらって感覚がおかしくなる時間が1時間でも2時間でもあると、よくない気がしたんですよね」
奥様もトレランには理解があり、レース前はマネージャーのように厳しくなるらしい。
「睡眠と食事を大事にする人で、よく噛んで!っていつも言われます。今年の夏は黒酢をたくさん飲みました。朝からデカいコップで出されたりして、ちょっとキツかった(笑)」