フットサル日本代表PRESSBACK NUMBER
強豪ポルトガル相手に劇的ドロー!
フットサル日本代表が見せた使命感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO
posted2012/11/05 12:00
優勝候補のポルトガルから勝ち点1を奪い、観客席からの大声援に応える日本代表。W杯出場を目指し8月に日本国籍を取得したペルー出身の森岡薫(写真)は2ゴールを挙げるなど、昨季Fリーグ得点王&MVPに相応しい活躍を見せた。
後半は、チームメイトを鼓舞することに徹したカズ。
いくつものきっかけが折り重なり、日本は勝ち点1をつかむことができた。だが、チームに通底する使命感こそが、驚くべき巻き返しの原動力になったと思う。
名古屋オーシャンズの僚友リカルジーニョと激しい1対1を演じた北原は、「戦わない姿だけは見せたくなかった」と語った。
「日本でも試合を観ている人がいて、フットサルが注目されている。点差は離れている状況でも少しのプレーから変えていけば、このゲームはもう一度立て直せるんじゃないかと思っていた」と言うのだ。これはもう、前回大会までは持ち得なかったメンタリティだろう。
フットサルW杯が注目を集めるきっかけを作ったカズは、前半しかコートに立っていない。後半はチームメイトを鼓舞することに徹した。
「僕はああいうパワープレーを経験していない。パスがひとつ噛み合わないだけで、失点につながることがある。後半の流れで自分が出ないのは、当たり前のことですよ」
7日のリビア戦で日本フットサル界の歴史は変わるのか!?
ポルトガルからつかんだ貴重な勝ち点1は、2位での16強進出の希望さえ膨らませる。
ただ、日本はまだ何も手にしていない。
ロドリゴ監督は、ゆっくりと言葉を選ぶ。記者に話しながら、自らに言い聞かせているようだった。
「いよいよ次は、一番難しい試合。リビア戦です。今日と同じようなプレッシャーを感じながらも、グループステージ突破のゲームにしなきゃいけない」
指揮官だけではない。7日のリビア戦が意味するものは、誰もが心に刻んでいる。GK川原の声には、強い決意の色がにじんでいた。
「リビアに足元をすくわれないように、今日よりもっと集中しないといけない。何位で上に行くとかは、考えることじゃない。次の試合で勝つことがすべてですから」
チームは5日午後にバンコクへ移動し、日本フットサル史上初の決勝トーナメント進出をかけ、7日の決戦に備える。日本フットサル界の歴史が変わるかもしれない一日が、近づいてきた。