フットサル日本代表PRESSBACK NUMBER
強豪ポルトガル相手に劇的ドロー!
フットサル日本代表が見せた使命感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO
posted2012/11/05 12:00
優勝候補のポルトガルから勝ち点1を奪い、観客席からの大声援に応える日本代表。W杯出場を目指し8月に日本国籍を取得したペルー出身の森岡薫(写真)は2ゴールを挙げるなど、昨季Fリーグ得点王&MVPに相応しい活躍を見せた。
後半11分、「日本オリジナルの秘密兵器」を投入。
果たして、15分のインターバルを経てコートへ戻ってきた日本は、前半とはまるで別の表情をのぞかせる。ポルトガルのキックオフから始まったボールを奪い、森岡の右足シュートが相手GKを襲う。
「前半はなかなかボールに寄せられなかったので、そこはもっと積極的にいこうと。後半は強くいけたかな、と思います」と小宮山は言う。鋭さを増した日本の出足が、ポルトガルにストレスをもたらす。シュートがCKにつながり、CKからまたフィニッシュを浴びせる連続性が、日本の攻撃にリズムをもたらしていく。
ロドリゴ監督が動いた。後半11分、日本はパワープレーを仕掛ける。「早くも」と言われる時間帯だが、チームには明確な裏付けがある。GK川原永光に代わって小曽戸允哉が登場するセットは、今年5月から練り上げてきたものだ。現地入り後の非公開練習でも精度を高めてきた。ロドリゴ監督曰く、「日本オリジナルの秘密兵器」である。
オフェンスの人数を増やした効果は、すぐにスコアへ刻まれる。後半11分51秒、北原がゴールネットを揺らす。
試合終了直後の日本には、勝利者が受けるような拍手が。
2点差に詰め寄ってから1分も経たないうちに、今度は森岡がパワープレーから得点をあげる。相手の守備陣を完全に崩し切ったファインゴールだった。
マイボールを徹底してパワープレーへつなげる日本は、後半16分に逸見勝利ラファエルがゴールを決め、ついに5-5の同点とする。日本の猛攻にアリーナが沸きたつ。地元の観衆も、青いユニフォームに歓声をおくる。試合終了直後の日本には、勝利者が受けるような拍手が降り注いだ。
それにしても、あまりに劇的な変貌である。
ロドリゴ監督のゲキがきいたのは間違いない。選手が開き直ったのも確かだろう。
3点リードで後半を迎えたポルトガルが、ペースダウンしたのも見逃せない。相手の守り方も、日本のパワープレーにマッチした。「ブラジルは簡単に飛び込んでこないし、カバーもしっかりしていたけど、ポルトガルはラインを上げるし、飛び込んでくる」と森岡が話したように、相手が食いついてくることでスペースが生まれ、数的優位を生かすことができた。