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ストレート勝負の本格派に変身中!
松坂大輔は魅力的な“悪女”である。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKYODO
posted2010/06/13 08:00
日米通算150勝についてイチローが「遅いでしょ」とコメントしたことに対して、「僕もそう思う。自分が思っていたより2年くらい遅いですから」と答えた松坂
気になる三振の減少。フライを打たせるピッチャーに?
ただし、気になるデータもある。三振の数が減っているのだ。
シーズン | K/9 |
---|---|
2007年 | 8.84 |
2008年 | 8.27 |
2009年 | 8.19 |
2010年 | 6.80 |
9イニングあたりの三振の数(K/9)は、2007年の8.84をピークに、今季は6.8まで減少している。これはコントロールを重視しているためなのか、決め球を欠いているのか、その理由はシーズンがもう少し深まってみないと判然としない。
その他では相手打者のゴロ比率が低くなり、フライの比率が上がっている。スライダーで引っ掛けさせるという投球ではなく、カッターで芯を外し、フライを打たせる――そうしたタイプに変わりつつあるのかもしれない。
今季の松坂は本当に魅力的だが、正直、つかみどころがない部分もある。変身中だからもう少し長い目で観察する必要がありそうだ。
これだけ熱心に松坂の投球を見たのは、横浜高校時代と、2007年のメジャー最初のシーズンくらいだと思う。
それほど、今年の松坂の投球は見る価値がある。
出来はいいのか、悪いのか。見てみないと判らないとは、やっぱり松坂は悪女なのかもしれない……。