野球善哉BACK NUMBER
大谷翔平は次世代の野茂になれるか。
高卒即MLB行きで日本球界が変わる!?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2012/10/22 12:30
記者会見でメジャー挑戦を表明した大谷。隣に立つのは父親の大谷徹氏。過去に例のない挑戦を支えるためには、家族や学校など周辺の協力も必須となるだろう。
大谷のメジャー挑戦を阻む、ただひとつの心配事とは?
大谷の言葉には、メジャーへの単なる憧れには収まらない、新たな常識を日本球界に吹き込んでやろうという野心を感じずにはいられない。
サッカー界では若者がどんどん海外へ繰り出している。
今となっては普通のことだ。
サッカーに限ったことではなく、他のスポーツ、あるいは芸術や経済の世界であれ、どの分野でも、優れた人物が世界に出ていこうというのは至極自然な流れなのではないだろうか。そして、その流れがさまざまな業界を活性化させているのだ。
ただ、ひとつだけ大きな問題がある。
大谷が大志を表明したとはいえ、NPBのルール上、大谷をドラフトで指名できないわけではない。もし日本の球団が大谷を指名した場合、翌年の3月31日まで(国内における)独占的な交渉権が有効となるのである。
大谷と本気で交渉したいと考えている日本の球団がないわけではないだろうし、意地悪な球団が入団拒否をされても困らない下位で大谷を意図的に指名し、MLB球団へのけん制をする可能性もある。
しかし、だ。
大志ある若者の背中をそういった形で引き留めようとする行為は、日本球界に何の未来ももたらさないと思う。是非、野球界として真摯な対応を求めたい。
扉は開かれたのだ。
3年前に閉ざされた、日本球界が発展していくための未来が、いま再び、大谷翔平によって拓かれようとしているのだ。