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巨人優勝の“陰のMVP”はこの男!
ピンチをことごとく救った西村健太朗。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byShigeki Yamamoto
posted2012/09/24 15:00
日本人投手の球団セーブ記録である32セーブ(上原浩治)を超えるか? 「師匠(レンジャーズの上原)も経験していない胴上げ投手になるなんて。セーブ数も、挑戦していいですかね」と優勝試合後にコメントした西村。
「彼はそういう起用法とかにあまりこだわりがない」
だが、この時期も原監督には別の思惑があった。
球速150キロを越えるパワーピッチャーのスコット・マシソン投手を何とかクローザーに使いたい――ただ、マシソンは来日当初からクイックやスライド・ピッチなどの細かいマウンドさばきができずに、中継ぎをやりながらその習得をさせていたのだ。
そしてそんな細かい動きも何とかサマになってきた時点で……守護神・西村は再び中継ぎに戻された。
「彼はそういう起用法とかにあまりこだわりがないところがあるんです」
こう語るのは川口和久投手総合コーチだった。
「あのときも僕が中継ぎに回ってもらうことを話しました。『またクローザーをやってもらうことがあるかもしれないけど、キミが6回7回にいてくれることがチームにとっては一番心強いんだ』って。そうしたら『分かりました。僕は流れのままにやりますから大丈夫です』と」
シーズン中に再び訪れた、「困ったときの西村」の登板。
6月29日の中日戦でクローザーとして登板したマシソンは150キロ台後半のストレートを連発。確かに試合の最後を締めくくるに相応しい投手だった。だが、そんな期待の新守護神はわずか1カ月で右ひじがぶっ壊れてしまったのだ。
そしてまた、「困ったときの西村」の登板だ。
当初は再び山口との“併用クローザー”だったが、8月3日のDeNA戦。西村は3点リードの9回にマウンドに上がると、打者3人を9球で片付けて16セーブ目を挙げた。8月半ばからは完全にクローザーに固定起用され、完ぺきな投球内容でチームのラストスパートを支えた。