MLB東奔西走BACK NUMBER
“反ボビー派”の大量放出で……。
Rソックスと松坂の未来はどうなる!?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/09/02 08:02
千葉ロッテの監督時代も、話題に事欠かなかったボビー・バレンタイン。今シーズンよりレッドソックスの監督に就任。8月26日のヤンキース戦では審判に猛抗議し、自身42回目となる退場処分を受けた。
チェリントンGMが選択した変革への道。
もちろんバレンタイン監督を途中解任していれば、現有戦力を維持しながら戦うことはできた。しかしまた再び、優勝争いを続けられるチームに戻れたかというと、そこには何の保証もない。
そして今回のトレードで明らかになったように、バレンタイン監督と同じく就任1年目のチェリントンGMは変革の道を選択し、経営陣もその方針を後押ししたということだ。
「レッドソックスで7年間過ごし、良い時も悪い時も経験した。フロントの多くの人たちと最高の関係も築けたが、両者にとって前に進む時が来たのだと思う。その理由が何だったのかは自分にはわからない」
ドジャースの入団会見でベケットはオブラートに包んだ発言に留まった。ゴンザレスも核心部分に触れることはなかったし、バレンタイン監督も多くを語ろうとはしなかった。
「自分はチームを采配することに多忙で(トレード交渉に)加わったことはない。自分も驚いた一人だ。自分はそれでチームを采配することで給料を得ているし、今その仕事を楽しんでいる。ベケットとはそんなに頻繁に話をしたことはないが、初めて会話を交わしたときから常に楽しく、心休まるものだった。今まで彼が怒りを表したような場面を見たことがない」
松坂大輔も放出覚悟の改革。その行く末は如何に?
メジャー球界には「終わったことを蒸し返さない」、「クラブハウスで起こったことは外に持ち出さない」という暗黙の了解が存在しており、これ以上当事者たちから論争が起こるようなことはないだろう。
しかし、チームに残ったペドロイアやレスターのようなベテラン選手たちとバレンタイン監督との確執が、今回のトレードによって雲散霧消したわけではないのだ。
「我々にはまだ才能ある主力選手がおり、彼らが中心となった新しいチームづくりに向かいたい」
トレード発表会見でチェリントンGMは力強く話した。
奇しくも時を同じくして松坂大輔やレスターらも密かにウェーバー公示されていることが報じられた。もちろんこの措置がそのまま来シーズン以降の戦力構想外を意味するものではない。
しかし、今回のトレードもゴンザレスのウェーバー公示にドジャースが手を挙げたのが発端となった通り(松坂のようにトレード拒否権を有している選手がいるものの)、レッドソックス側に状況次第では彼らを放出しても構わない覚悟があったのは間違いないだろう。
果たして今回の一連の動きが、GMの言葉通りレッドソックス再建の第一歩なのか、それとも破滅へと向かう序章なのかは、もうしばらく様子をみていく必要があるだろう。