MLB東奔西走BACK NUMBER
“反ボビー派”の大量放出で……。
Rソックスと松坂の未来はどうなる!?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/09/02 08:02
千葉ロッテの監督時代も、話題に事欠かなかったボビー・バレンタイン。今シーズンよりレッドソックスの監督に就任。8月26日のヤンキース戦では審判に猛抗議し、自身42回目となる退場処分を受けた。
“歴史は嘘をつかない”ものであり、“歴史は繰り返す”ものである。
世の趨勢を見極める際、歴史は常に貴重な道標となる。それは野球の世界でもまったく不変であるということを、今シーズンのレッドソックス、いや今シーズンから同チームの指揮をとることになったボビー・バレンタイン監督を見ていてつくづく痛感している。
主力4選手を放出して、ドジャースと大型トレード。
8月25日、レッドソックスはドジャースとの間で大型トレードを成立させた。
チームを去ったエイドリアン・ゴンザレス、カール・クロフォード、ジョシュ・ベケット、ニック・プントの4選手はすべて複数年契約を結び、来シーズン以降の契約が保証されていた主要選手ばかり。彼らの残りシーズンの年俸総額は2億6000万ドルにものぼる。
一方、ドジャースから獲得した5選手はジェームス・ローニー以外すべてマイナー選手。つまり、大幅な年俸削減をやってのけたのだ。
「我々は自分たちが望んでいる状況にないと判断した。そのためにも上辺だけに留まらない変化が必要だった。このオフに向け我々やファンが望むチームにしていくためにも、ロースターの刷新が求められた。
どんな交渉においてもある程度は経営陣も参画してくるもの。もちろん今回のトレードについても両チームの経営陣も交渉に加わり、私自身もジョン(・ヘンリー=オーナー)、トム(・ワーナー会長)、ラリー(・ルチーノ球団社長)とも繰り返し話し合いを行なってきた」
トレードを正式発表したベン・チェリントンGMは以上のように経緯を説明した。ヘンリー氏が2002年にチームを買収して以来、ヤンキースと争うように大物FA選手と大型契約を結んできたレッドソックス。
1年前にはゴンザレス、2年前にはクロフォードと7年契約を結び注目を集めたが、今回その2人を放出してしまった。
GMの言葉を借りるなら、ここ2年プレーオフから遠ざかっている現状と今シーズンの不振を考慮し、経営陣が抜本的なチーム改革に乗り出したことになる。だが、彼らの主張するような単純な構図でないことは誰の目から見ても明らかだ。