W杯紀行 思えば南アへ来たもんだBACK NUMBER
南アの人はマラドーナが異常に好き!?
W杯メインスタジアムは未だ完成せず。
text by
竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph bySoichiro Takeda
posted2010/06/04 10:30
サッカーシティは南アW杯のメインスタジアムとなる。外壁の素材はすべてエコロジーを考慮された板が使用されている
いよいよ開幕まで1週間となり、南アフリカ国内はやっと燃えてきた!
バファナバファナ(南ア代表チーム)は5月16日にタイ(○4-0)、24日にはブルガリア(△1-1)、27日にはコロンビア(○2-1)、31日にはグァテマラ(○5-0)と頻繁にテストマッチを繰り返し、6月に入っても5日に強豪デンマークとの試合まで予定している。
試合のたびにテレビや新聞でも大きく報道されていて、スポーツショップだけでなく、デパートや衣料品店でも店頭に黄色いシャツがズラリと並ぶ。道ゆく車も国旗をはためかせて走り、やっとW杯一色になってきたといった感じだ。
ではスタジアムはどうかな……と開幕戦を迎える大会のメインスタジアムであるサッカーシティに行ってみることにする。ところが、中心部から10キロ以上も離れているサッカーシティに行くにはまだ交通手段がなかった!
未完成のスタジアムでも「大丈夫だよ、マイフレンド!」。
6月1日現在でもBRT(高速バス・システム/写真右)などはまだ運行していない。
では職員や作業員の足はどうしているのかというと、自家用車かミニバス、あるいは文字通り歩いて通っているのだという。
仕方なくタクシーを呼んでアクセスするが、驚くべきというか予想通りというか、お得意の周辺工事ゴーイングオンだった。もはや答えは分かっているのだけど、大丈夫なの? 開幕できる? と尋ねてもお決まりの
「大丈夫だよ、マイフレンド!」
である。
ではたくさんいる作業員は具体的に何をしているのか? 地面をこすってる。
テニスコートをならすようなブラシを携え、強い陽光の下、永遠に続く作業であるかのようにのんびりとアスファルトをカサカサ掃いている。まったく訓練されてない怠慢な『STOMP』といった感じの集団だ。
炎天下、延々と砂埃を掃き続けるという“拷問”。
ちょっと赤が混ざった土煙があちこちで舞い上がる。細かい砂のような土を路肩に寄せるのが彼らの仕事らしいが、その意図がさっぱり分からない。
「ねえ、そのブラシで何してるの?」
「は? 掃除に決まってんだろが!」
“なんだコイツ、これでクリケットやるわけねーだろ、アホか”といった表情で教えてくれたけれど、砂を寄せたそばから風が吹きつけ、あるいは工事用の車両が轟音をたてて走り去るにつけて突風が起こり、また新たな土煙がどんどんアスファルトに積もっていく。これではゲレンデで雪かきしているようなもんだ。新しい拷問のようにも見えるな。